待望のシリーズ第五作目。この翻訳ペースで年内には「Gone Too Far」にありつける事を祈る
ばかりですね〜(^∧^)ちなみに本国では新作「Force of Nature」が今夏に刊行予定です(^^)
海軍特殊部隊SEAL第十六チームの本拠地でもあるサンディエゴの海軍基地を大統領が訪問する
事になり、ホワイトハウスで広報部のアシスタントを務めるジョーンは、先立って基地を訪れた。
SEAL隊員のマイク・マルドゥーン中尉に基地を案内されるうちに、二人は自然と惹かれ合うが、
一方基地の周辺では大統領の訪問に向けて、テロリスト達が着々と計画を進めていた・・・。
TSを読んだ後は感情が高ぶって、暫くの間頭の切り替えがきかないのですが、ただ純粋に本を
楽しむだけでは終わらない、このシリーズならではの特別な余韻と共に未だ在りますが・・・。今回
も期待を裏切らない充実した内容でしたね〜。以下毎度お馴染みの狂気じみた長文レビュー及び
ネタばれアリになります。ウザレビューが苦手な方や未読の方はスルーもしくはバックして下さい。
ヒロインのジョーンは32歳のホワイトハウスの広報アシスタント。サバサバとした快活な性格で、
歴代のヒロインズとはまた一風違う雰囲気のキャラクターでしたが、ジョーンのウィットや明るさ
には活気があったかな。世界で一番セクシーなハ○(笑)のトムと初めて出会った時の反応にも
大いに頷きつつ、クスッと笑いを誘われたりも(^^)でも精神病を抱える兄のドニーへの想いや
マイクに対して募っていく自分の気持ちにブレーキをかけようとするあたりには、無防備な一面が
見えましたね(^^)祖母のシャーロットとの会話にも、女友達同士で話しているような率直さと愛情
があり、そして二人がよく似ているのがわかるのにもニンマリ。積極的で飾らないくせに、臆病だっ
たりするキャラは特別な存在感があるわけでは無いけれど、私的には好感が持てました(^^)
そして前評判を聞いた限りでは、印象の薄そうな感じがしなくも無かったヒーローのマイクですが、
真面目で礼儀正しく、黙っていても相手の方から寄ってくる程整った外見の持ち主である一方で、
一時のお楽しみのお相手としてしか見て貰えない事に密かに悩みつつ、太っていてシャイだった
少年時代を引きずっています。可愛さのあまりヘッドロックをかけたくなるような(笑)ケンなんかに
比べると、おとなしさは否めずですが、でもそれもまた個性の一つだし、明確な意志と責任感を
持つ、きりっと締まったSEAL隊員である顔とジョーンに対してどう振舞うべきかわからず思案する
不器用振りが上手く調和していて、妙のある魅力が感じられましたね〜。カラーの違いはあれど、
ブロックマンのヒーローズに共通するひたむきさがマイクの内にもちゃんと見て取れるし、そして
可愛いんだ、やっぱりね(笑)ドニーに示した優しさも自然な感じがしましたね。好青年キャラの中に
は感受性や内面の深みがきちんとあり、それが良いんだなあ〜。精悍で優しい温度感が○でした。
そんな二人のロマンスですが、ルックスも良くて七歳も年下、DCとサンディエゴの距離や自分の
キャリア等を考慮したジョーンが及び腰になるのに対して、サムのアドヴァイス(爆)を受けつつ、
マイクはアタックをします。二人の関係に怯えや混乱を抱くジョーンの胸の内やジョーンにとことん
惚れ込んでいて、不器用なりに自分の想いを表に出すマイクの姿が厚く巧みに描き込まれている
中、特にジョーンの戸惑いや不安には何とも現実味がありましたね(笑)テンポの良い会話の内容
を楽しみながらも、二人の気持ちがすれ違って、傷ついたり、傷つけたりの感情のやり取りも丁寧
に色を出しながら読ませるなあ〜といった感じでした。シリーズのメインのロマンスで一番好き
なのは、スタンとテリー(ああ、やっぱりここでもアニキ気質愛丸出し・爆)なのですが、派手さは
無いものの、ジョーンとマイクのロマンスも二人の個性に沿った内容で中々だったなあ〜と(^^)
今回の二次大戦時のエピソードは、ジョーンの祖父母のお話ですが、祖父のヴィンスの存在は
ストーリーの中でも特に光っていました。シャーロット捧げる深い愛情と献身だけで無く、凄惨
な戦いを生き延びた者としてヴィンスが全うしようとしている使命感もまた力強く描き出されて
いましたが、ヴィンスのシャーロットに対する一途な想いの切なさにはホロホロと感動。穏やかさ
が滲み出るキャラの中に前向きで純粋な強さと愛情、不安が味わい深く息づいていて、とっても
素敵でした。ヴィンスもまたブロックマンのヒーローなんだなあ〜と。じい様好きのツボ直撃(笑)
そして今回は主にメアリ・ルー側の視点から、二人の結婚生活が描かれていますが、原書をつま
み読みした時と印象は変わらずでした。ただただ空しい。あまりの空虚感に胸が痛くなりますね。
SEAL隊員みたいな完全無欠のスーパーヒーローと結婚すれば幸せになれると思い込んだものの、
相手は当然弱さを持つ生身の人間であり、愛情も無ければ、他にも何一つ通うものが無く、夢と
現実のギャップと罪悪感に打ちのめされているメアリ・ルーについては、彼女の未熟さや脆さが
哀れとしか言いようが無い。近所の庭仕事を請け負っているイブラハムというアラブ系の青年に
自分の心の中にあるものを全て吐き出す事によって、メアリ・ルーが現状に向き合う勇気を得る
と同時に真の愛情を知るまでの切々とした流れには、メアリ・ルーというキャラが持つ可能性や
成長力が、余す所無く描き抜かれていて、見据えなければいけないというか、目を逸らさせない
現実感がありましたね。また、妊娠の件は言い訳のしようが無いとは言え、幸せになりたくて必死な
メアリ・ルーの決して出来ているとは言えない人間性と共に孤独や痛みが切実に浮き彫りになる様
には、深く感じ入らせる情がこもっていて、ブロックマンの高い筆力ならではの秀逸な内容でした。
一方のサムは当然だけれど暗い(苦笑)惨めな結婚生活の愚痴も出るし、メアリ・ルーみたいな
若いグルーピーを引っ掛けてしまった事に対する罪悪感や悔いを抱えながら、正しい事と信じた
結婚が、結局は皆を傷つけただけだったという事実に苦しんでいますが、今回のサムの非家庭人
振りに対して非難の声も少なからず聞こえる中、子供の為に責任を取って結婚するという潔さや
メアリ・ルーを愛している振りすら出来ないバカ正直さ、そして正しいと信じた事が結局は間違い
だったという事等全部ひっくるめて、サムらしい顛末とでも言うべきか。サムもまた長所と短所を
持つ普通の人間であって、正しい事をする時もあれば間違いを犯す事もあり、その言葉にしろ行い
にしろ、常にサムは「サム」なんですよね。だからこそ愛おしいのですが(笑)半年前にアリッサが
言った言葉を、そのまんま受け止めていて(これまたサムらしい)それでもホテルの部屋を訪れる
サムが切ない。今回この不幸な結婚生活を通して、幸せというものを考えさせられる思いでした。
三つのロマンスと並行して、基地訪問が予定されている大統領を狙ったテロ計画の進行が描かれて
いますが、終盤になってスピードアップしつつ巧みに盛り上げるし、今回は9.11以降に書かれたと
いう事がストーリーの随所に感じられましたね。あとちらっとだったけれど、ジョーの再登場は嬉し
かったなあ〜(^^)SEAL隊員の訓練内容も興味深かったです。シリーズの中ではトーンの違う、
暗めの内容でしたが、全体的に安定した勢いがあり、人間味溢れるキャラ達の機微が色濃く浮
かび上がったストーリーは、パワフルかつエモーショナルにグッと惹き付けて読ませます。この作品
ならではの質感と重みを存分に堪能しました。そして次は「GTF」。やっと、やっとですね〜(^^)
- 2007/04/22(日) 13:23:27|
- TDD&Troubleshooter|
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