Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

夜明けが来るまで見られてる

今年の初めや春に出た新刊を救済中という事で、スーザン・ブロックマンの3月刊に着手しました〜(^^)

かつてハリウッドで大成功を納めたものの、アルコールとドラッグに溺れて地位を失った俳優のジェリコは、
望んでいた新作映画の主役を得て、復活の足がかりにしようとしていた。だがその映画のプロデューサー
のケイトは、更生したジェリコの事を信用せず、24時間体制で監視をつける事を決めて実行するが・・・。

ブロックマンはやっぱり上手いですね〜。TSシリーズのような派手さは無くても、じわじわと深みを増しな
がら読ませていくし、骨格がしっかりとしたキャラ達、そしてサイドストーリーの優秀さ。充実した一冊でした。

ヒロインのケイトは映画プロデューサー。密かに脚本も手がけた作品の主役にジェリコが起用される事に
なり、実力は認めるものの信用出来ずに反対します。映画に対して情熱を持っているやり手で、ジェリコ
に対する態度もケイトの立場からすれば仕方が無いとは思うものの、時折見られる上からの目線は正直
ちょっと気になったりもしたかな〜。まあ、ケイトに徹底したプロ意識を持たせているあたりもまたブロックマン
らしい流儀と言えるような(笑)辛い過去を抱えつつも、しっかりと前向きに生きていて、地に足が着いてい
る様もよく表現されていましたが、ジェリコに惹かれながらもジェリコの本当の姿が掴めないケイトの心情
にはグッと手ごたえがありましたね〜。相手に対して真っ直ぐに目線を据えているのに見通せない事への
葛藤や苦悩の描出が巧みだし、自分自身の過去を晒してまでしっかりと向き合おうとするスタンスからは
ケイトの真摯な愛情や強さが感じられて○。段々とキャラに魅力や味が出てくる感じのヒロインだったかな。

ヒーローのジェリコはアルコールとドラッグに依存してキャリアを失墜させた俳優で、主役を得る為にケイトが
出した24時間体制の監視を受け入れる羽目になります。このジェリコのキャラが◎でした。基本的に気さく
で仕事に対してはとても真面目だし、自分の間違いを認められる率直な姿勢も気持ちが良かったかな〜。
ケイトに仕返しをしようと考えたりするけれど、そういった部分からジェリコの傷ついた表情が窺えつつ、実際
は故意に人を傷つけたり出来ないのもよく分かると言うか。とても優しくて繊細なのが見て取れるな〜と。
またジェリコの感受性が丹念に描き出される中、演じる事で生身の自分自身を隠し、傷つかないように
無感覚でいようとする姿に切なさが募りつつ、ジェリコがケイトに心を開く下りで見せる、痛々しいまでの
不器用さをエモーショナルに読ませるんですよね。そしてやっぱり感情の解放と共に流れる涙にはホロっと
させられたりも。痛みや苦悩を奥深く心に抱え込んだ、ブロックマンらしい人間臭いヒーローでしたね〜。

若手俳優のジャマールとスージーのロマンスがサイドストーリーとして描かれていましたが、二人の人種の
違いやスージーがまだ15歳である事実を絡めながら、大人と少女の中間点にいるようなスージーと賢くて
真っ直ぐで懐が深いジャマールのそれぞれのキャラ立ちもくっきりとして申し分無し。若さや優しさが光り
つつ、とってもピュアで素敵でしたね〜。ろくでなしかと思われたスージーの父親の真情の吐露や今後の
関係も含めて、丸く納まったのが何より。ブロックマンは本当にキャパが広いと言うか(笑)老若関係無く、
個性や人間味を与えながらキャラそのものを鮮やかに描き出しますよね〜。改めて感心した次第です(^^)

ケイト自身がジェリコの24時間体制の監視を行わなければいけなくなり、一緒に過ごす時間が増えた
二人は惹かれ合い、関係を持ちますが、常に演技をして自分の本心を見せないジェリコにケイトは翻弄
され、思い悩みます。ストーリーは切り口がさくさくとしていて、TSシリーズのようなテンションの高さは無い
けれど、導入から割と入りやすい感じかな〜。ケイトとジェリコのロマンスは、男女間の恋愛であると同時
に二人の関係性において、人間らしさが顕著に出た深みのある内容でした。ジェリコのアルコール依存
症や同性愛、家庭内暴力を背景に盛り込んだストーリーは筆致も安定していて、キャラ達もナイス(^^)
トータルで過不足無くよく出来ていたと思います。ただ最後の、ドラッグがジェリコの部屋に置かれていたと
いうエピソードは突発的で、二人の心が完全に通い合った後だけに蛇足な感じは否めずでしたが、シン
プルながらも一歩一歩の大切さを物語るようなエピローグは印象的で○。しっかりとした良質作品です。

さてTSシリーズですが、13作目の「Into the Fire」がこの7月に刊行されて、更に14作目の「Dark
of Night」が来年の2月に発表予定との事です。翻訳の方も早く続きが読める事を願うばかりだわ(^^)

夜明けが来るまで見られてる (ヴィレッジブックス F フ 5-8)夜明けが来るまで見られてる (ヴィレッジブックス F フ 5-8)
北沢 あかね

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  1. 2008/07/12(土) 23:59:26|
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