Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

愛はゆるやかに熱く

新刊ラッシュ・レビュー第二弾はS・ブラウン。ずっと読みたかった作品です^−^

南部で伐採会社を営む義父が倒れた為にスカイラーは婚約者が義妹と結婚して以来、
六年ぶりに故郷へ戻ったが、会社の経営状況は火の車で、父親は代々受け継がれてきた
屋敷の「ベル・テール」を担保に銀行から莫大な融資を受けていた。一念発起したスカイラー
は会社を再開し、優秀な森林労働者で何かと噂のあるキャッシュを雇い入れるが・・・。

中盤あたりまではサスペンスというよりは愛憎が入り混じった人間ドラマのような感じ。
パワフルでテンポの良いストーリーに惹き付けられて、すっかりと読み入ってしまったなあ〜。
T・ホウグの「心ふるえる夜に」に似た面が少しあるかなと思います。一昔前のS・ブラウン
作品に見られる濃密な雰囲気が、ストーリー全体をしっかりと色付けていました。

「ベル・テール」を巡る登場人物の強欲振りが浅ましく描かれていましたが、その一方で
南部の田舎町に根深く残る人種差別や階級差の方により感じる面がありました。

私生児で「白人のクズ」と呼ばれて育ってきたキャッシュや「「ベル・テール」の
元家政婦の娘で、黒人であるが故に良い職に就けず、病気の母親の為に売春婦に
ならざるを得なかったゲイラとゲイラの恋人で彼女に裏切られたと思い込んでいる、
服役中のジミー・ドンのそれぞれが背負っているものが哀しかったし、彼らの現実が
あまりに過酷で本当に辛かったです(><)状況がイタイ分、ゲイラとジミー・ドンの
ロマンスに凄く期待していたのですが、思っていたほど描かれないまま、最後には
あっさりとハッピーエンドになりましたが、二人が辛い思いをした分、余計な波乱は
無しで良かったんだろうなあ〜。ゲイラを囲っていた極悪人の最期にはすっきりでしたが。

ヒロインのスカイラーは、真面目で意志が強く、義父に背かれた事に傷つきながらも、
愛する家を守ろうと必死で頑張る姿が好印象でした。ゲイラを助けてかくまう優しさと
勇敢さもナイスだし、困難に立ち向かっていくガッツが何よりも良かったです^−^

キャッシュについては、S・ブラウンの描くヒーローの中でも(私が読んだ作品に限りますが)
相当荒っぽい部類に入ると思いますが、キャッシュの視点からの描写が少ないせいか、
中盤を過ぎてもあまり感情移入は出来なかったんですね。銀行家の妻との不倫に
関しては絶対に頷けないし、スカイラーに対する態度も良い時もあれば、そうでは無い
時もあって。決して好きなタイプのヒーローでは無いけれど、でもキャッシュの
そういう言動や生き方がとても虚しく映って、共感とまではいかなくても、心の琴線に
触れるような何かを感じさせる部分がありました。ラストに明らかになったコットンとの
関係の真実は何となくわかってはいたけれど、キャッシュが最後に自分を息子と認めて
ほしいと願った事や初めて見た時からずっと「ベル・テール」に魅せられ続けていた
事が哀しくて切なくて(><)母親は愛人として一生を送り、息子よりも「ベル・テール」
を選んだ父親の事を思えば、キャッシュの内面の複雑さや愛を否定して、物事に対して
嘲笑的な態度でいるのが理解出来たし、だからこそやるせなさが募るキャラでした。

私的にキャッシュはちょっと粗野過ぎるのですが(笑)最後にスカイラーに想いを
告白するシーンは優しさと同時にちょっぴり切なさも感じさせて、思いがけず
ホロっときました。幸福感がほのかに漂う、素敵なやり取りでした^−^

終盤に盛り上がってくるサスペンスは犯人がほとんど見えているので、驚きはありません
でしたが、「ベル・テール」という美しい屋敷を中心に巡りながら、スカイラーと
キャッシュの熱く渇いたロマンスを始めとして、家族間の複雑な愛憎と人間の醜悪さが
力強く深く描き出された、読み応えたっぷりのドラマティックな作品でした^−^

さてさて・・・来年は「Another Dawn」を翻訳してくれる事を期待します(笑)


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  1. 2006/06/30(金) 23:30:13|
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