「スウィートハートは甘くない」が当たりだった、スーザン・アンダーセンの新刊。楽しみにしていた一冊です♪
ラスベガスでショーガールとして生計を立てているトリーナは、三十代半ばに差し掛かり、キャリアの岐路
に立たされていた。そんな時プロのギャンブラーのジャックスと出会い、デートを重ねる内に強く惹かれて
いくが、一方のジャックスは、実はトリーナの亡夫の息子で、トリーナからある物を奪おうと目論んでいて・・・。
歯切れの良さが光る「スウィートハート〜」に比べると、トーンとしてはおとなしめな感じですが、温かで
甘酸っぱい粒子が散りばめられているストーリーは、キャラの立ち具合も○。楽しんで読めました♪
ヒロインのトリーナは、35歳になったばかりのショーガール。将来はダンススタジオを持つつもりだったもの
の、貯蓄は癌に侵されていた夫の治療費に当ててしまい、現在は契約更新のオーデションに向けて練習を
しています。まずトリーナというキャラに凄く親近感を持ったなあ〜。35歳という年齢が自分と近いせいも
ありますが(爆)、独力で頑張ってきたからこそと言える、地に足の着いた感覚や将来への不安が何とも
リアルに響いてくるんですよね。生き方の違う家族に対して抱く感情には、年齢と共に培った理解や聡明さ
が感じられるし、意地悪女への態度も大人らしくさっぱりとしていて、とても雰囲気が良いなあ〜と。ジャック
スとの関係においては、ジャックスに少年っぽさが残っているせいか、トリーナの、しっかりとした落ち着きの
ある部分や安定した目線の高さ・・・みたいなものが光っているように私的には思ったりも。でも思いや悩み
を友人達に話したりしつつ、前向きに頑張る姿勢は等身大そのもので、率直な魅力を感じましたね(^^)
数理系の天才で、17歳でMITを卒業し、以後はプロのポーカー・プレイヤーとして生活しているヒーロー
のジャックスは、父親が死んだと知らされた晩にポーカーで負けた為、家宝の「大リーグのワールドシリー
ズのサインボール」を渡さなければいけない事態に陥っています。このジャックスですが、私的に一押しの
のトンクのクープ(笑)に比べると、がたいは立派ですが、男っぽさは抑え目と言えるかな(笑)理系らしく、
論理や計算を武器にして生きてきたタイプにも関わらず、トリーナを騙して近づいてはいても、計算高さや
そつの無さなんかはほとんど感じられなくて、不器用だったり、無防備な感じの方が強かったように思え
ましたね〜。父親が望むようになれない為に、気持ちが通い合わないままMITに入ったものの、頭の良さ
は認めて貰える一方で深い付き合いが出来るような人間関係が築けなかった少年時代を乗り越え
切れていないジャックスの姿が、トリーナに惹かれていく心の動きや機微と共に浮き彫りになっていく様は、
甘かったり切なかったりの色合いや感情の込められ方が印象的で、ジャックスを見守るような(笑)優しい
気持ちになったりも(^^)しっかりとホットに魅せたりもするけれど、自慢の自制心が働かず、むしろ隙が
大アリな部分にギュッと惹き付けられたかな〜。私的には数字に強いっていうのもオイシイ要素です。
脇役の面々は、トリーナが住むコンドミニアムの住人達がほとんどでしたが、まずサイドロマンスとして
描かれた、元司書のエレンとコンドミニアムの便利屋マックのやり取りが、軽妙で良かったですね〜(^^)
エレンの事を好きなくせに、意識し過ぎてついつい余計な口を叩いてしまうマックが可愛いの何のって(笑)
上品で余裕のある老婦人かと思いきや、大胆不敵(笑)な発言を連発するエレンのキャラは捻りがあって、
良く出来ていたなあ〜。トリーナやカーリーのお母さん的な存在でもあると同時に秘密を分かち合える
女友達ならではの気さくさや親密さが微笑ましかったですね(^^)そして次回作ではヒロインになるカーリー
とわんこのルーファスの存在も賑やかに笑いを誘って○。あと忘れてはならないのが、サインボールを要求
しているセルゲイでしょう(爆)アメリカのものが大好きで、用心棒二名と一緒にエルビスの格好で練り歩く
(?)姿の馬鹿馬鹿しさや間の抜け方が最高(笑)それぞれの個性が生き生きと描かれる中、二人を
囲んでのユーモアがたっぷりと効いた明るいやり取りが、作品をカラフルに温めていると同時にカーリーと
ツンツン頭の隣人ウルフガングが主役になる次回作への期待を高めてくれたなあ〜。こちらも楽しみ(^^)
二人はデートを重ねる事によって相手を知っていきながら、徐々に関係を深めていきますが、金目当て女
だと思い込んでいたトリーナの本当の姿を知ったジャックスは、トリーナへの想いとサインボールを奪うと
いう目的に板挟みになりながら、自分の正体を中々言い出せずにる中、ある時トリーナに免許証を見ら
れてしまいます。トリーナとジャックスがともに過ごす時間に隣人達との絡みを調子良く盛り込まれていく
中、個々のエピソードをしっかりと描く事によって、感情のやり取りや動きに妙を出しながら読ませていく
感触が○。そしてジャックスが自分の正体を隠してはいるものの、相手を見つめる視線自体は真っ直ぐ
に内面に向けられているのが良いんだなあ〜(^^)二人が交わす会話もウィットや洒落っ気が冴えを見せて
いたし、からっとしつつも、要所要所で感情的にギュッと引かされたりしながら、最後まで快く楽しめました。
各々のスタンスを見せながらも、様子を見るようにゆったりと構えたオチも好きだな〜。面白かったです♪
スピンは「Just for Kicks」。ツンツン頭スキーには要チェックな一冊になるかも(笑)翻訳されますように。
- 2007/09/29(土) 23:59:05|
- スーザン・アンダーセン|
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