お初作家リディア・ジョイスの新刊。こちらも今後の翻訳がどうなるのか、気になる所ですね〜(^^)
庶子のアデラを友人のデ・リントに強姦された伯爵のセバスチャンは復讐を誓い、デ・リントを
追いかけてヴェニスに渡った。デ・リントの母親の付添い人のサラをデ・リントの愛人と勘違いした
セバスチャンは、早速サラにドレスと手紙を送り、仮面舞踏会におびき寄せて近づこうとするが・・・。
暗調を帯びた重たげな雰囲気に包まれたストーリーは、独特とも異彩とも言えて、興味深く読ませ
るものがありましたね。ただクセがあるし、ヒロインの過去を思うと、万人にお薦めは出来ずかな〜。
ヒロインのサラは貴婦人の付き添い人をしていますが、顔には貧民街の生まれである事を物語る
あばたが残り、十代の時には売春婦をしていた過去があります。友人が貴族と結婚した事を機に
サラの人生も上向きになり現在に至りますが、このサラの存在が際立っていましたね〜。地味な
立ち振る舞いの内には静かな知性があり、自分の生い立ちや過去にあるがままの目を向けて
いる様には落ち着きある強さが感じられたかな。セバスチャンに惹かれるものを感じて、誘いに乗る
大胆さや自分の気持ちに従う率直さ等サラの持つ資質や感情が巧みな筆で細やかに描き込まれて
いて、過酷な過去から這い上がり、真面目に慎ましく生きているサラのキャラがリアルな重みを
もって浮き彫りになると同時に不思議な存在感を感じさせるなあ〜と思ったりも。また、ただでさえ
女性には生き難い時代で、選択肢はほとんど無いにも関わらず、自分自身の手で人生を押し進め
ている姿には賞賛の気持ちを覚える一方で、サラがどんなに頑張っても、事あるごとに自分の出自
を思い出しては辛い思いをするあたりに、階級社会という仕組みの残酷さが投影されていて、切なく
なりましたね(><)背景が重過ぎると思われるかも知れないけれど、苦悩や孤独を抱きながらも、
決して悲観的にならずに現状を見据えている芯の強さが○。作中の特筆ポイントですね(^^)
一方ヒーローのセバスチャンは馬車の事故に遭った事を利用して、自分は死んだ事とし、ヴェニス
に渡って復讐の計画を実行します。雰囲気としては、暗い皮肉屋といった感じですが、娘を放任した
まま守ってあげられなかった事に対する悔恨の念やサラを利用する事への迷いといった心模様
から人間味が滲み出る中、とりわけセバスチャンの目線が、真っ直ぐにサラの本質面に向けられて
いるのが印象的でしたね。本をプレゼントする優しさも良かったし、サラの過去に関しても、静かに
耳を傾けつつ、痛みに共感を示す姿がとても自然な印象で、二人の間に通う理解も無理無く映った
なあ〜。背景的な部分で、セバスチャンのキャラをもう少し汲み取りたかったかも〜と思いますが、
サラと向き合う事によって見せるセバスチャンの表情や心情の変化はよく描かれていて○でした。
自分を誘い出すセバスチャンの意図に疑いを抱きながらも、サラはセバスチャンと関係を持ちます
が、以前から嫌がらせをしてきたデ・リントに襲われそうになった為にセバスチャンの所に身を寄せ
る事になります。ペース的にはスローで、重たくくすんだ空気感を漂わせながら、じっくりと進んで
いく感じ。デ・リントへの復讐やセバスチャンをつけ狙う謎の人物の存在等を絡ませたストーリー
展開は、どちらかと言うと一定していて、事件面よりもロマンス面で読ませる部分が大きく、厚く行き
届いた心理描写には確かな手ごたえがあり、またキャラ立ちもしっかりとしていました(特にサラ
は抜群)。閉塞感を抱かせるような独特の暗さがスムーズさを削ぐものの、力を感じさせると同時に
個性が強く出た作品だと思います。キャパの広い方には一読のお薦めが出来るかな〜とも(^^)
この作品はデビュー作の「The Veil of the Night」に次ぐ二作目という事で、関連性等の詳細は
不明ですが、「Whispers of the Night」、「Voices of the Night」と続いて刊行されている模様
ですね。後書きでは今後の翻訳については触れられていませんでしたが、果たして・・・?(^^)
- 2007/09/06(木) 23:33:20|
- 二見書房|
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昨日お知らせを頂きました〜(^^)ありがとうございます♪来月はまさしく「SEP祭り」ですね〜。
今から小躍りしています\(^^)/アナベラとヒースのロマンスやアナグマ君とうさぎさんの再登場も
とっても楽しみですが、私的要注目は、シマリスのヴィクトリアちゃんの成長振りだったりします(笑)
- 2007/09/06(木) 17:31:52|
- スーザン・E・フィリップス|
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