スーザン・マレリーの四部作「ブキャナン・シリーズ」の一作目。続きは来年に刊行されるそうです。
シェフのペニーは、離婚した夫キャルの一族が経営する、評判の落ちた一流レストランにシェフと
して引き抜かれた。いつかは独立する為の資金稼ぎとしてペニーは早速仕事に取り掛かり、じきに
店も活気を取り戻すが、総支配人を務めるキャルと顔を合わせる内に、想いが再燃し始めて・・・。
「あなたに片思い」が昨年読んだHQ作品の中で私的BEST1だった事もあり、この「ブキャナン・
シリーズ」もとても楽しみにしていたのですが・・・(笑)いや、ストーリーそのものは、程よい洒落っ気
と温かいユーモアが散っていて良い感じなのですが、ヒーローがへタレ過ぎなのが何とも・・・(^^;)
十代の時にGFとの間に出来た娘を養子に出した事がずっと心に重くのしかかっていて、結婚して
いた当時もヒロインにその事実は打ち明けず、ヒロインが妊娠して流産した時には、哀しむ一方で
ホッとしていたり、養子に出した娘以外の人間を愛する事は出来ない、愛してはいけないという
ヒーローの心情は、冷酷な祖母の存在等から汲み取れなくも無いけれど、祖母から娘の存在
を告げられただけで無く、結婚当時ヒーローがさほど自分を愛していなかった事や流産後に
ヒーローが子供を欲しがらなかった本当の理由を知ったヒロインの気持ちを思うと、どんなに
事情を考慮したとしてもフェアじゃないし、ヒーロー寄りの見方は出来なかったですね〜。ヒロイン
に謝ったりしても、言葉だけで気持ちが入り切れていない感じで、自分の言動がどれだけヒロイン
を傷つけたかという事を深く理解していないように思えたし、へたれでも可愛いへたれ君じゃない
のも微妙だったり(苦笑)キャラ的にも何となく面白みに欠けていて、ピントがぼやけ気味。娘の
骨髄移植の下りなんかは中々だったけれど、弟二人や他脇役に完全に食われていましたね(^^;)
ヒロインに対する感情がどうあれ、とりあえず娘の事は打ち明けるべきだったという部分に尽きる
のですが、過去だけで無く、現在に至ってもヒーローの言動が歯切れが悪いので、心情の変化や
進歩とかを明確に感じ切れなかったのがマイナスだったなあ〜と。性格的に嫌なヤツとかでは
無いのですが、何か生煮えみたいな感じが拭えず。「家庭に恵まれなかった長男坊」というツボ
設定にも関わらず、さっぱり萌えない長男でしたね〜(笑)設定よりも最後は魅力なんだけれど。
・・・ヒーローのダメ出しはさておき(笑)、ヒロインは前向きで感情的にも素直で○。自分の考えを
主張して通そうとする強さも程々だし、ガッツがあって好印象でした。ヒーローの弟二人や異父妹、
非情で冷酷な祖母、そして自由奔放に異性関係を楽しむ一方で実は悲しい過去を抱えている
ヒロインの親友等の脇役達も様々な個性が立っていましたね。ユーモラスだけれどピリッとした
ものを感じるストーリーも良く描かれていると思うのですが、ヒーローに躓いてしまっただけに、
存分に楽しめなかったのが何とも残念。でも作品的に悪くは無いと思います。なので来年刊行
されるスピンの「Irresistible」も要チェックかな。元海兵隊員の三男坊がヒーローとの事です(^^)
- 2007/06/18(月) 23:59:19|
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