溜まりつつある新刊の中から、まずはケイ・フーパーをピック。1989年に書かれた作品です(^^)
FBIの「証人保護プログラム」によって名前や素性を変えて生活しているララは、地方劇団の芝居の
「ラプンツェル」のヒロイン役に選ばれ、早速稽古に参加する事になった。だが周囲では不審な事件
が続き、危ない所を王子役のデボンに助けられたララは、デボンに自分の事情を打ち明けるが・・・。
ヒロインのララは、政府絡みのコンピューターの設計書にまつわる事件によって父親を殺害され、
以後名前を変えて生活をしているイラストレーター。自分の人生を取り戻そうとする強い意志に
デボンへの想いを絡めつつ、ララの心情の機微が丁寧に描かれていましたが、丁寧なんだけれど、
それ以上のものが無いような・・・(笑)感情がいまひとつ活きてこない感じなんですよね〜。
読んでいて、ちゃんと描かれているのは分かるのに、どこか汲み取り切れないとでもいうか(^^;)
前向きに運命に立ち向かう強さや相手の気持ちを察する事が出来る、ララのキャラそのものは、
しっかりとしていて○なのですが、パンチみたいなものがあればもっと良かったかもと思いました。
ヒーローのデボンはFBIの覆面捜査官で、初めは素性を隠してララに接近しますが、やがて正体を
明かし、ララを犯人の手から守ろうとします。キャラとしては正統派といった感じで、妙なごまかし
とかややこしさが無いのは良かったです。孤独感を漂わせたような雰囲気も中々だったかな〜。
ララへの想いや共感、葛藤といったデボンの感情についても、ララ同様に堅実な描写がされて
いましたが、こちらも分かるんだけれど、もう少し何かが欲しいと思わせる微妙感が拭えず(苦笑)
ララもデボンも良いキャラなんだけれどなあ〜。良いだけで終わってしまうんですよね(^^;)苦手
キャラを読まされる事を思えば、当然OKなのですが、私的にはプラスαを求めてしまうなあ〜と。
人生と自由を取り戻す決心をしたララの決断を、デボンは葛藤の末に受け入れますが、父親がララ
に残したとされる機密設計書を欲しがっている犯罪カルテルが差し向けた殺し屋が、劇団の中に
いると見当をつけた二人は計画を練り、囮となったララは殺し屋をおびき寄せます。ストーリーは、
「ラプンツェル」のストーリーとララとデボンの心情や状況がダブらせる感じで、現状を脱却して
自由を得ようとするララとデボンのやり取りの中にサスペンスの動きを盛り込みながら展開して
いきますが、内容としては、大きく盛り上がるわけでは無いけれど、足取りはしっかりとした印象
だったかな〜。ただ面白みと言うと、やっぱり微妙に物足りなさを覚えてしまう(^^;)ロマンスにしろ
サスペンスにしろ、真面目さは感じるのですが、どこかスパっと抜けていかない感じなんですよね。
でもララの飼い猫のチンは風格があるだけで無く(笑)、ストーリーにユーモラスなスパイスを与えて
いて、笑わせつつ、和ませてくれましたね〜(^^)最後まで難なく読めてしまうし、中々良いお話だと
は思うのですが、特筆ポイントをピックするとなると困ってしまう・・・やっぱり猫のチンかしら(爆)
何だか歯切れの悪いレビューになってしまいましたが(^^;)作品的に言うとごく普通って所かな(笑)
- 2007/06/06(水) 00:00:00|
- 扶桑社|
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