ジェニファー・ブレイクの新刊。北米が舞台のヒストリカルという事で楽しみにしていた一冊です。
セリーナは、弟が決闘を申し込んだ剣士のリオに、弟の命を救って貰うよう嘆願に行くが、リオは
その見返りとして、セリーナの純潔を要求してきた。考えた末にあっさりと承諾したセリーナに
リオは疑問を抱く。弟に傷を負わせただけの決闘が終わり、リオはセリーナの元を訪れるが・・・。
舞台となったニューオリンズという街が持つ、ゆったりとほの暗い雰囲気が漂う中、ヒーローが剣士
という設定が新鮮で○。キャラとストーリーの生真面目さを終始良い感じに楽しめた作品でした(^^)
ヒロインのセリーナは、スペイン貴族との結婚がほぼ決まりかけている、裕福な農園主の娘。家族
思いで召使にも優しく接する、凛とした面持ちのキャラは王道的といった所ですが、無謀なスタンド
プレイに走ったりしないし、またやたらと感情を振り回したりせず、周囲の状況を見ながら行動を
起こす姿は安心材料だったな〜。実は結婚が嫌で、何とか逃れようと考えていたり、自分が原因で
リオが決闘をせざるを得ない状況になった事に対して責任を感じたり等の言動を通して見て取れる
真っ直ぐな性格や静かに滲み出るリオへの想いも、中々好印象でした(^^)でも毅然とした態度で
状況判断がつく一方で一連の出来事の背後に婚約者がいる事を察せないあたりは、人の良い
お嬢様ならではの妥当な反応なのかなと思ったり(笑)背筋がピンとした感じが良かったですね〜。
剣士として生計を立てているヒーローのリオは、家族を殺された挙句自らも奴隷として売られた過去
の持ち主で、復讐の機会を窺っています。クールで感情を抑制しているリオが、胸の内ではセリー
ナへの強い想いを抱きつつも、自分が失ってしまったものをそこに重ね合わせて、決して手に入れ
る事が出来ないと思う姿にはグッときましたね〜。セリーナに取引を持ちかけながらも、根は高潔で
誇り高くて、あと傲慢な感じがしないのも良かった。セリーナの事を思いやるだけで無く、言う事
にきちんと耳を傾けて理解するし、クールな態度の内に激しさと切なさが混在するのが魅力的。
剣士としてのかっこよさや物事に対する見方にも好感が持てたりとポイントの高いヒーローでした。
リオはセリーナが結婚を破談にする為に純潔を失おうと決心している事を知り、一度は名誉を重ん
じるものの、結局二人は関係を持ちます。一方で伯爵の悪行を耳にしたセリーナの弟が行方不明
になり、セリーナに頼まれたリオは捜索に当たります。ストーリーはその時代と場所ならではの
事柄が背景にしっかりと盛り込まれていて、会話のやり取りが多く、じっくりと進んでいく感じ。
会話のせいで、流れが微妙にスローダウンするように思える時もありましたが、会話そのものは
名誉や約束を重んじながらも、相手への想いを深めていく個々の心情面同様丁寧に描かれて
いましたね。リオの剣士仲間を始め、脇役達の配置やパスクアーレとの決闘シーンも○ですが、
伯爵を追ってキャラが集まる最後の下りは、雑音が行き交う感じで、作品の雰囲気に似つかわしく
ないような印象がややアリでした(笑)でも内容的には趣ある空気感と安定した筆力で最後まで
引っ張るし、王道的であると同時に新鮮みのある一冊でした。次回作への興味が募ります(^^)
この作品は「The Masters at Arms Series」の一作目という事ですが、続く二作目の
「Dawn Encounter」はケイド、三作目の「Rogue's Salute」はパスクアーレが主人公になるそう
です。来年の2月には四作目の「Guarded Heart」が刊行予定との事。翻訳されると良いなあ〜。
- 2007/05/24(木) 23:59:29|
- villagebooks|
-
トラックバック:1|
-
コメント:9