書店で衝動買いした一冊(笑)機を逃さない内に早速着手しました。こちらも続編アリだそうで(^^;)
車に轢かれかけた子供を助けた事で、マスコミに報じられたフリーライターのリドリーは、あなたは
私の娘ではないかと書かれたメモと写真を受け取った。リドリーは迷いながらも、同じアパートの
住人のジェイクの協力を得て調査を進める事に決め、やがて封書の送り主が判明するが・・・。
とりあえず・・・正統派のロマンティック・サスペンスを期待して読むと、外す内容だと思います(笑)
以下
ネタばれアリの内容になりますので、未読の方はスルーかバックされる事をお薦め致します。
NYでフリーライターをしているヒロインのリドリーは、ある日車に轢かれそうになった子供を救い、
その事がマスコミに大きく報道されてから程なくして、「あなたは私の娘ではないか」というメモと
写真が入った封書を受け取り、その結果平穏だったリドリーの人生が変動していく事になります。
ストーリーはリドリーの一人称で進んでいきますが、両親の愛情に恵まれて育ち、社会的にも成功
を収め、優しさとシニカルな面を併せ持つ現代女性といったリドリーのキャラが持つ個性や感情が、
手厚く、丁重に描出されているのが出色だなあ〜と。事無かれ主義の両親やドラッグ中毒の兄、
そして亡きおじのマックスに抱く愛情や錯雑とした想いの中で、混乱や困惑に足を取られて、真実
を追う事を躊躇し、戸惑いながらも、現実と向き合う事によって、自分自身を探そうとするリドリーの
姿が細やかに浮き彫りになる様は、ある種のリアルさを感じさせるし、とにかく心情の描写が綿密
なので、強さや弱さ等人間的な部分で色々と感じ入らせる深みを持つヒロインといった感じでした。
ヒーローのジェイクは、リドリのアパートに引っ越して来たばかりの彫刻家。リドリーから事情を
聞かされて真相追求の協力を申し出ますが、それだけは無いミステリアスな部分が多く、徐々に
ジェイクの正体が明らかになっていきます。このジェイクが味わい深いキャラでしたね〜。本当は
私立探偵で、親に捨てられて里親の元で辛い思いをしながら育った過去の持ち主でもあり、自分の
出生に関する真実を追いかける内にリドリーに行き着き、意図的に近づいたわけですが、強くある為
にジェイクと名乗る事に決めたエピソードなんかもほろっとさせたし、冷静な立ち居振る舞いに深い
物悲しさが漂っているんですよね。自分自身を探し続けている人の孤独感がジェイクの静かな姿を
通して痛切に描き出されているだけで無く、相手に対して心を開く事の難しさの中に思いやりが感じ
られるのもまた切なく映った。直感的なものに始まり、理解や共感が通い合う事によって、形作られ
ていく二人の関係は愛情と共にどこかほろ苦いものを引きずるような感じもして、印象的でしたね。
封書の送り主を突き止めたリドリーは、ジェイクと共に会いに出かけますが、その男は三十年以上
前に殺害された女性の行方不明になっている娘の父親で、リドリーが自分の娘のジェシー・ストーン
である事を聞かせますが、話の途中で殺害されてしまい、以後リドリーは何者かに追われます。
ストーリーは、ゆったりとしたペースで進んでいきますが、緩やかな流れの謎解きよりも、リドリー
自身の内面の機微や両親や兄、マックス、そしてジェイクとの関係性を丁寧に掘り下げて読ませる
感が強かったですね〜。またマックスが運営していた非営利組織による、虐待されている子供を
救うという大義名分の下の人身売買に関する事件面については、親または子供から一方的に引き
離されて人生を決められてしまった被害者達の気持ちをより考えさせる重さや現実感があり、
展開の早いサスペンスの面白みとは違う興や重量感に惹き込まれて読み切った感じかな〜。
ページを追わせる力強さと滲み出る情感、そして読後に残る淡い寂寥感が印象深い一冊でした。
ストーリ上でリドリーが指摘していた通り、人身売買に関する諸々で釈然としない点が幾つか
あったのがちょっと気になるのですが、今年刊行された続編の「Sliver of Truth」の中で描かれて
いるとか?作風が独特なので今後も是非読みたいと思いますが、果たして翻訳されるのかな(^^)
- 2007/05/21(月) 23:59:14|
- 早川書房|
-
トラックバック:0|
-
コメント:2