Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

霧に濡れた死者たち

ミステリーは久しぶりのような感じ。こちらも例によってシリーズ物なので、本棚残し決定です(^^)

サンフランシスコ市警の殺人課刑事のケイトは、空き倉庫で見つかった凍死体の捜査に当たるが、
その直後に凍死体の解剖に当たった検死官でもある、ケイトの相棒スコラーリの妻が殺害された。
現場に指紋を残していたスコラーリが行方をくらましてしまう中、ケイトは事件解決に臨むが・・・。

お初作家という事で期待半分様子見半分な気持ちで読み始めましたが、まずヒロインのケイトの
キャラが強すぎず、弱すぎずでちょうど良い印象でしたね。市警初の殺人課の女性刑事という事
で、男性優位の職場の中で差別や反発にさらされている立場にも関わらず、ガチガチの難しさを
感じさせないし、感情が表に出やすくて、嘘が上手くなかったり、自分の未熟さを顧みて涙を流し
たりする姿には人間臭さが見えて、トータルで無理の無い、等身大のヒロインと言えるかな〜。
気張り過ぎず、良識もちゃんと働くし(^^)ロマンス面においても、ストッキングのネタやドレスを選ぶ
際にトランスの目を意識したり・・・なんていう可愛い女心が覗いて微笑ましかったし、相手の気持ち
を推し測りながらのケイトの心の揺れが、ストーリーの所々でさりげなく挟まれていたのも○。一人
称スタイルのせいか、些細な事からケイトのキャラが窺えるような感じもまた良かったですね(^^)

IAという署内の嫌われ部署に所属するヒーローのトランスですが、地味ヒーロー好きのツボを
しっかりとついてくるキャラでニンマリ(笑)署内の女性職員がこぞってうっとりしちゃうくらいの良い
男で、ケイトに惹かれながらも、あくまでも職務優先のストイックさがかっこいいし、さらっとした
セクシーさと時折見せる茶目っ気が相まった個性は存在感があると同時に魅力的でしたね(^^)
IAに所属する自分と付き合う事によって、ケイトが署内で好ましくない立場に立たされるであろう事
を気にしつつ、警官とは付き合わないと決めているトランス自身の惑う心情にも味わいがあった
なあ〜。自分の仕事は警官の窮地に陥らせない事だというトランスのセリフが、何気無いながらも
印象に残る中、そういった諸々と二人が今後どう向き合っていくのか、興味が募りますね〜♪

ストーリーは割とゆったりと進んでいく感じですが、かなりはしょって言うと、スコラーリの妻の殺害
に続いて、署内の証拠品係が殺害され、麻薬取引の容疑をかけられている実業家と凍死体の件に
関する証拠品が燃やされてしまったりと事件が続く一方で、スコラーリの妻殺害の手口と似ている
連続殺人事件や実業家の麻薬取引、凍死体が発見された倉庫の半分を借りている製薬会社の
存在が徐々に繋がりを見せ、事件の全貌が明らかになっていきます。妻殺害容疑だけで無く、
連続殺人の疑いを掛けられているスコラーリが、ケイトを巧みに操って、気を反らそうとするやり方
なんかは中々だったし、関心を惹きたくて浮気をしても、結局は妻を愛していたスコラーリの姿は
切なかったな。無罪を信じられる程親しくは無いものの、かつて自分の命を救ってくれたスコラーリ
を信じようとするケイトの心情面が、彼女のキャラに合った描かれ方が巧みにされていたのもヨシ。
また状況が違えば、二人はもっと良い相棒関係を築けたかもなあ〜とか残念に思ったりもしました。

複数の要素や様々な登場人物が細々と入り組んで描かれる中、ケイトが担当を任される事件が
何度か変わるせいか、何となく落ち着かないような印象もありましたが、提示された事実の数々が
どう事件に絡んでいくのかという面白さは十分に感じさせる内容でしたね。ただ事件の組み立て方
の緩さは否めずだな〜。真相に絡む事実をまとめ上げる力がもう一つ欲しかった。あとケイトが犯人
と対峙するシーンももう少し余裕のある描き方でも良かったかも。事実が錯綜するような内容だった
だけに何となくそう感じました。そして一つ気になったのが金遣いが荒いケイトの元夫。マスコミに
情報を漏洩していただけで無く、麻薬取引の疑いがある実業家とも関係があるような事を臭わせる
ような感じだったけれど、結局そのあたりは描かれずじまいで、関係が無かったとはあまり思えない
のですが、ただの揺さぶりの要素か、もしくは麻薬取引等の一件は、麻薬過剰摂取で死んだケイト
の兄と関係があるとか?ちょっとモヤっとしつつ、勝手に深読みして興味津々になっています(笑)

ケイトとトランスの動きが緩慢気味に思えたりもしましたが、幾つも事件を抱えた都会の刑事らしい、
現実的な描かれ方と言えるのでは〜と理解しました。展開的にもう少しタイトで勢いがあっても
良かったとは私的に思いますが、興をそいでしまうような事は無かったですね。謎が入り組んだ
ストーリーは実直な筆力による面白さで読ませるし、キャラも好感が持てる良作でした(^^)
警察組織におけるケイトの頑張りや兄の死の真相、そしてトランスとの関係等続きも期待ですね。

シリーズは「Fatal Truth」、「Deadly Legacy」、「Cold Case」と続いている模様。今後の
翻訳の予定は不明ですが、シリーズ物という事できっちりと読ませて欲しいですね〜(^∧^)

霧に濡れた死者たち霧に濡れた死者たち
ロビン・バーセル 東野 さやか

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  1. 2007/03/27(火) 23:58:33|
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