Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

冬空に舞う堕天使と

「壁の花」シリーズの三作目。新刊ラッシュは凄く楽しみにしていたこの作品から着手です(^^)

エヴィーは、財産を狙う親戚の魔の手から逃げ出し、死の床にある父親の看病をする為に、貴族の
セバスチャンに自分の財産と引き換えの便宜結婚を持ちかけた。放蕩者として知られ、経済的に
貧窮しているセバスチャンはエヴィーの提案を受け入れ、スコットランドで駆け落ち結婚をするが、
その後ロンドンに戻った二人はエヴィーの父親の賭博クラブで生活を共にする事になり・・・。

「恋の香りは〜」の明るく微笑ましいトーンとはガラッと変わった内容は、期待以上でしたね〜(^^)
キャラ、ストーリー共に申し分の無い描かれ方で、シリーズならではのやり取りがちゃんと盛り
込まれている楽しさも○。甘くエモーショナルなロマンスに優しい幸福感を貰える充実の一冊です。

「壁の花」のメンバーの中で登場時から一番気になっていたヒロインのエヴィーですが、内気な
性格で吃音症の持ち主。母親を早くに亡くし、娘の将来を考えた父親によって預けられた母方の
親戚の家で暮らしています。財産目当ての従兄弟との結婚から逃れる為、エヴィーはセバスチャン
に条件を提示して結婚を持ちかけますが、まずこの冒頭からエヴィーが良いんだなあ〜。穏やか
ながらも、内にある強さが凄く伝わってくるんですよね。娘を思っての事とは言え、父親と一緒に
暮らせなかった事やろくでなしの親戚から受けた虐待のせいで、自分は人から求められない人間
なのではという低い自己評価の中にいますが、セバスチャンに対する向き合い方はフェアで真っ
直ぐ。エヴィーの芯の強さや優しさ、愛情深さがストーリーの進行と共に輝きを増していく様子
は、読んでいて爽快感を感じたというか、凄く心地良い気持ちになったなあ〜(^^)セバスチャンが
娼館で遊んでいると思い込んで怒る姿も可愛かったし、相手の話に耳を傾ける賢さもヨシだけれど、
全てを包み込むような深い温かさが最も印象的だったかな。素敵なヒロインで、お気に入りです♪

そして前作で悪行の果てにマーカスにボコボコにされた(爆)セバスチャンですが、非の打ち所の
無いマーカスとは対極にあるキャラで(笑)、自堕落な貴族というだけで無く、犯罪者レベルにまで
身を落としたダメっぷりからどう浮上するのか。放蕩者の改心という王道パターンとは言え興味津々
でしたが、冷笑的で皮肉屋なセバスチャンが、エヴィーとの結婚を機に賭博クラブの経営に興味
を持つようになり、自堕落な生き方から脱皮していく様や純真なエヴィーにコロッとメロメロになる
あたりも手堅く描き込まれていたし、エヴィーがセバスチャンに与えた影響の大きさが如実に感じ
られるのも良かった(^^)わざとシニカルに振舞ってしまう、屈折しがちなセバスチャンがエヴィー
を想う余り自分の過去を悔いて、やり直したいと言う姿にはジーンときちゃったなあ〜(><)
エヴィーの強さに対するように浮き彫りになるセバスチャンの脆さに込められた感情が凄く深い
んですよね。そしてその無防備さが可愛いやら切ないやらで(笑)前作のダメ男から見事に株を
上げましたね。キャムに嫉妬メラメラで、エヴィーにぞっこんなのに素直になりきれない愛すべき
キャラは◎。クレイパス作品はヒーローが常に素敵なんですよね。今回も当たりでした(^^)

脇役と言うと、クラブの従業員のキャムがセバスチャンの嫉妬心を煽り(笑)かつデイジーとの
絡みもあって良い味を出していましたが、デイジーのお相手はキャムでは無いんですよね(^^;)
新婚旅行から帰ってきたウェストクリフ伯爵夫妻の登場は期待通りでしたが、リリアンの毒舌の
冴えにニンマリしつつ、やっぱりマーカスに尽きるわね〜と(^^)何をやらせても様になるというか、
心憎い万能振り(笑)セバスチャンが撃たれた件の捜査に関しても抜かり無く対応するし、この完全
無欠さは本当に素晴らしいなあ〜。アニキなマーカスも大好きだけれど、愛妻家で友人の為
に動くマーカスもこれまたナイス。次回作ではパパになっているかな?楽しみですね( ̄ー ̄)

スコットランドで結婚した後にロンドンに戻ったエヴィーとセバスチャンは、エヴィーの父親の賭博
クラブへ行きますが、エヴィーが死にかかっている父親の看病に励む一方でセバスチャンはクラブ
の経営状況を調べて、売上金を着服していた従業員を解雇し、経営内容を見直す仕事に取り
掛かります。父親が死に、ろくでなしの親戚がエヴィーを連れ戻しに来たりする中、セバスチャンに
惹かれながらも、心の結びつきを求めるエヴィーは、三ヶ月の禁欲をセバスチャンに提案します。

ストーリーはいつもながらペースが良くて、キャラの心情面を丁寧に映し出しながら無駄無く軽快
に進んでいきます。この一年間でクレイパス作品を6作読んできましたが、読めば読む程魅力が
増していくなあ〜といった感じで、甘くてしなやかな作風が率直に心に響くんですよね。ストーリー
や感情描写の上手さは勿論の事、マーカスのような完璧なヒーローを描く一方でセバスチャンの
ようなキャラにたっぷりと魅力を注ぎ込んで描き切る人物造形の巧みさとキャパの広さはあっぱれ。
優等生的な堅実さと同時に感性が豊かで、情感のこもったストーリーを読ませてくれるなあ〜と
今回の作品で改めて実感しました。甘くてほんのりと切ないロマンスが素晴らしい一冊でした(^^)

シリーズの最後を飾るデイジーのお話は「Scandal in Spring」。そう待たずに読めるのでは(笑)
そして今回お話の中で名前だけ登場したデレクの作品「Dreaming of You」。以前から気になって
いましたが、こちらもいつか読めると良いなあ〜。今後も順調に作品が翻訳される事を願います。

冬空に舞う堕天使と冬空に舞う堕天使と
リサ・クレイパス 古川 奈々子

原書房 2007-03
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  1. 2007/03/13(火) 00:13:05|
  2. リサ・クレイパス|
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