Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

緋色の十字架

新刊買いしたのに中々手が出ずにいた作品。今回思い切って読んで見ました(^^)

ハリウッドスターのブランドンはキャリアの絶頂を極めながらも酒に溺れて事故を起こし、
同乗していたポルノ女優を死なせてしまった結果、故殺罪で三年間を刑務所で過ごした。
仮釈放後、アルコールを絶ったブランドンは伯父の家へ身を寄せていたが、ある日カメラ
を持ったライターのアリソンと遭遇し、自叙伝を出版しないかと話を持ちかけられて・・・。

今読まなきゃこのまま一年、二年寝かせたままかも〜と思って(そういう本がゴロゴロ
しているけど・笑)手にしましたが、一度読み始めちゃうとページをめくる手が止まらない
勢いで惹き込まれてしまい、あっという間に読了してしまいました。トーンが暗影を
帯びているので、万人受けする作品では無いと思うし、ダークで重めな内容なのは確か
なんだけれど、文体がスマートなのでとても読みやすいんですよね〜。程よいスピード感
があり、しかも全体を通して深い情感がこもっていたのがとても良かったです(^^)

ヒーローのブランドンはハリウッドで成功したオスカー俳優。13歳の時からアルコールに
溺れるようになって、酔って運転した車で事故を起こし、同乗していたポルノ女優が死んで
しまった事から故殺罪で服役し、仮出所後は伯父の家があるテキサスの田舎町に身を寄せて
静かに暮らしていますが、このヒーローの過去があまりに痛ましくて読んでいてとても辛かった
なあ〜(><)諸悪の根源は役を得る為に息子を小児愛者のプロデューサーへ売ったり、自分
の友人のベッドの相手をさせたりした、ステージママの母親なのですが、大人になって母親
から解放された後でも、自分自身に対する激しい嫌悪や過去に受けた傷から逃れる為に
アルコールに溺れて破滅型の人生を辿る一方なんだけれど、本当は伯父と伯母を愛する心の
優しい青年でもあって、その事にホッとすると同時に物哀しく映りもして。癇癪持ちだし、
言動は荒っぽいけれど、根は優しくて繊細なのが凄く伝わって来るんですよね〜。なので、
周囲から常に利用されて裏切られる度にズタズタに傷ついてきた姿がただただ切ない。
伯父と伯母を傷つけまいとずっと苦しみを胸の内に秘めてきた事を思うと、ホロっとくるし、
内面の奥深い部分まで十分に達して描かれた存在だったので、優しい故にとことん
傷ついちゃったヒーローに弱い私は、思いがけずとても心を揺さぶられました(><)

ヒロインのアリソンもまた良くも悪くも人間らしく描かれていましたが、タブロイド紙の
記者から脱皮するべく特ダネを狙って、ヒーローに自分の本当の職を明かさずに近づくのは
何とも頂けなかったですね〜(><)ヒーローの本当の姿を知って、ヒーローの伯父と親しく
なる内に嘘がどんどん重くなっていって、ヒーローを傷つけたくない為に中々言い出せなくて
葛藤するんだけれど、ヒーローがヒロインに心を開いて無防備になっていく姿があまりに
優しくて自然で幸せそうなので、真実を知った時の事を思うと、イライラとしつつ、何とも
言えない想いになりましたね。結局ヒーローのエージェントによってバラされますが、ヒーロー
に拒絶されて傷つきながらも、逃げないでヒーローの事を真っ先に思う姿勢には好感を覚えたし、
前半の失態(?)は、ヒーローがピンチに陥った際に単独で救出に向かう活躍振りでチャラ
かなとも(笑)ヒロインがヒーローを愛する想いの強さはとても良かったですね〜(^^)

ストーリーはヒロインとヒーローのロマンスやヒロインとヒーロー伯父の心の触れ合いを
中心に進んでいきますが、サスペンス面は徐々に浮き彫りになっていく感じで、ヒーローに
逆恨みを抱く地元の保安官と精神的に不安定なその妹の奇行やヒロインが出会った超能力者
の存在にプラスして思いがけず起こった辛い事件を挟みながら、ヒーロー宛てに何年も
前から手紙を送り続けている「待っている者」の存在が、不気味に迫ってきます。

犯人は上巻の終わりあたりには見えちゃうんだけれど、解決に向かう展開自体は読めないし、
ヒロインがヒーローと離れている間にストーリーが動くので、ヒロインがいつヒーローの元へ
駆けつけるのかとハラハラもので、密な緊迫感が途切れる事無くラストまで一気に読ませる
内容でした。犯人の背景や分裂した人格の複雑さ等がきっちりと描かれていたし、トータルで
高い満足度を得られましたね〜。過程は痛くて哀しい事もあるけれど、最後の最後に作品
全体に漂っていた暗さと翳りが払拭されていくのが感じられて、ホント、良かったなあ〜と(笑)

主人公達を優しい目線で見つめるヒーローの伯父ヘンリーの存在が作品の中で一番のツボ
だったので何とも残念な気持ちも残っていますが、ホットなだけで無く、切々とした心の
機微に魅せられるロマンスと重厚さを湛えた読み応えのあるサスペンスは私的にどちらも
当たりでしたね〜。暗いイメージだけが先行していて、食指が動かずにいたのですが、読んで
いて負けちゃうような暗さでは無かったし、逆にその陰影の濃さに味わいを感じたし、深く
訴えてくるものがありました。キャラの感情もありのままに伝わって来て、強く惹きつけ
られたのも◎。思い切って読んで正解だったなあ〜と思う大満足な読後です(^^)

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  1. 2006/09/27(水) 23:32:57|
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