「さよならジェーン」を読了直後にスピンの存在を知って以来読みたくて仕方が無かった
のですが、運良くすぐに刊行されて良かったです(^^)この作品を読まれる方のほとんど
が「さよなら〜」を既読だとは思いますが、一応(笑)↓からは
ネタばれアリになります。
ダラス市警の刑事だったステイシーは妹が巻き込まれた事件をきっかけに警察を辞めた。
それからニューオリンズに引越し、大学院で英文学を学んでいたが、ある日友人が殺害
され、ステイシーは彼女が夢中になっていた「ホワイトラビット」という、「不思議の国
のアリス」を模したRPGが事件に関係している事を感じ、独自で捜査を始めるが・・・。
「さよなら〜」ではステイシーに魅力を感じていたので、あのラストは驚きだけで無く
ショックも大きくて、その後のステイシーがどう描かれるのか、とても興味がありましたが、
あんな事があったにも関わらず、ステイシーの本質が変わっていなかったのがまず安心
というか、良かった〜って思いました。ジェーンとの関係も良好で、前作ではジェーン
を襲った過去の事故や進行中の事件にプラスして二人の感情のすれ違いから相手に対して
中々素直になれなかったけれど、この作品ではステイシーがジェーンや生まれた姪っ子
を思う気持ちがストーリーの所々にちゃんと挟まれていて、やっぱり安堵(笑)する
ような気持ちになりましたね(^^)過去から立ち直りつつあるけれど、それでも
ステイシーが自分の直感を信じ切れなかったり、弱い部分を見せまいとあえて強がって
見せたりする姿にはマックとの一件が残した傷の深さが窺えたし、民間人として蚊帳の
外から警察の捜査を見つめるステイシーの胸の内に一抹の寂しさを感じさせたりと、
ステイシーの内面の機微が、責任感が強くて情の深いキャラと共に、E・スピンドラー
らしいあくまでも等身大の視点で描かれているあたりに手堅さを感じました(^^)
前作はヒーローだと信じた人物が・・・( ̄□ ̄;)でしたが、今回のヒーロー、スペンサーは
とても人間味溢れる感じで中々魅力的でした。「戦慄」のヒーロー、クウェンティンの
弟ですが、E・スピンドラーの作品に登場するヒーローはヒロインに比べると印象が薄い
事が少なからずあるにも関わらず、「戦慄」は作品的に面白かっただけで無く、クウェンティンの
キャラも好印象だったので、この兄弟のスピンを是非今後も出して貰えたら嬉しいかも(笑)
上司に騙されて横領の疑いをかけられた過去があるスペンサーは、署が訴えられる事を
恐れて提示した捜査支援部への異動を受け入れ、念願の職で一旗挙げようとしていま
すが、熱心だけれど暑苦しくは無いし、ステイシーの事も早々に認めるだけの度量も
持っていて、インパクトがあるタイプでは無いけれど、とても自然体なのが良かったなあ。
お約束的にステイシーと二人で捜査するのかと思いきや、情報交換はしつつも、基本的
にはステイシーは単独で動いて、スペンサーは相棒と捜査に当たるという流れで進んで
いきました。ロマンス面は淡かったけれど、それもE・スピンドラーらしくまあヨシかな(^^)
「不思議の国のアリス」をモチーフにしたRPGの展開に合わせて事件が起こりますが、
ファンタジーと現実の区別が付かなくなってしまうっていうのはかなりリアルなネタで、
落として、更に落とした後にもう一度落とす(笑)っていうE・スピンドラーお約束の
プロットにそれ程驚きは感じなかったけれど、ラストはやっぱりそれなりの後味の悪さ
と恐怖が残るものでしたね。「不思議の国のアリス」を模したゲームに沿って殺人を
繰り返すという行為の残虐性や歪みが巧みに映し出されているあたりにもゾクっとしました。
綿密に練られたプロットは軽快な流れで展開していくし、「Killer Takes All」という
原題が結局多くを物語っているなあと思う内容でした。ちょっと人が殺されすぎですが、
特に中盤過ぎあたりまでは捜査の段階を丁寧に追って描かれていたし、RPGを模したって
いうネタは奇抜(?)というか、私的にとても興味深く感じました。前作のステイシー
を思うと、ラストはもう少しゆったりと描いて欲しかったなあ〜といった感想も残って
いますが、全体的に程よいスピード感があり、中々充実した内容で面白く読めました(^^)
- 2006/09/15(金) 19:05:35|
- MIRA|
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