Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

幼き逃亡者の祈り

先月にvillageから出たP・ルーインの新刊のあらすじを読んで凄く興味を惹かれたので、
まずは未読本の山を漁って、「幼き逃亡者の祈り」から取っかかりました^−^

元CIA工作員のイーサンは三年前に任務に失敗し、その報復として息子を殺害された過去
から立ち直れないまま、砂漠で世捨て人同然の生活を送っていた。そんなイーサンの元に
かつての同僚が幼い兄妹を連れて現れ、子供たちを預かってほしいと言い残して、逃げ出して
しまった。その直後同僚は暗殺者に殺されてしまい、身の危険を感じたイーサンは
兄妹を連れて、暗殺者の標的になる恐れのある、別れた妻のシドニーの元を訪れるが・・・・。

面白かった〜!CIAの腐った部分と遺伝子研究を巡るサスペンスは流れが良くて
アップテンポだけれど、キャラの心情面が細やかに描かれているので、全体を
通して見事にバランスが取れているし、勢いに乗ってどんどん読めちゃいます。
サスペンスのプロットは綿密なだけで無く、趣向を凝らした感もあるし、
そこにプラスして意外性もアリで、とっても満足度の高いものでした^−^

ストーリーも良かったのですが、キャラも同様に魅力的でした。ヒーローのイーサンは
自分のせいで幼い息子が殺害されてしまってから、世捨て人同然で暮らしているのですが、
人一倍責任感が強いだけに妻のシドニーにも息子の死の真相を打ち明けられないまま、
暗殺者から守るべくあえて彼女の元を去ってしまい、何も知らないシドニーは裏切られた
と思っているんですよね。愛情は残っているのに関係は破綻してしまった夫婦が、
幼い兄妹連れの逃亡生活をする羽目になった事から、過去に向き合いつつ、自分自身と
相手を見つめ直しながら、想いを再確認して修復に向かっていく様子が奥深くじっくりと
描かれていて、感情面の静かなやり取りだけでしたが、しっかりと心に響いてきました。
イーサンとシドニーの二人は個性が際立つようなタイプでは無いのですが、とても率直で
人間臭い感じに好感を持てました。状況に合わせて動けるシドニーの柔軟性も◎だし^−^

イーサンが子供にしては知恵があって、大人に対して不信感しか抱いていない
ダニーと初めて心を通わせるシーンは温かくて感動的でした。このダニーが
また光っているんですよね〜。大人もびっくりする程頭が良くて、普段は生意気
な態度ばかり見せるけれど、父親の元へ行けば無条件に受け入れて貰えると
信じているあたりとかに子供らしい無心さが見えて、そのあたりのアンバランスさ
が痛々しくもありで、凄くリアルな印象を受けました。

イーサンの息子を殺害したとされる暗殺者のラミレスの存在も、魅力たっぷりに
描かれていましたね〜^^非情な暗殺者なのに、ネズミを猫から守ってあげたりと
微笑ましいシーンもアリで、ただの悪人では無いキャラだっただけに、最期は
惜しかったなあ〜。イーサンの息子殺害と二人の間にわだかまる過去には真相が
隠されているのですが、そのあたりも、いかにも狙った風な感じがしないし、プロットに
沿って無理無く描かれていたので、すっきりと納得を得られて良かったです^−^

ロマンスが欲しい方には物足りないと思いますが、サスペンス面の冴えはお見事だし、
人間ドラマとしても読み応えのある上質な作品なので、お薦めです☆こういうヒット
作品に当たると嬉しいですね♪はりきって「冷たい指の手品師」を読みたいと思います^−^

幼き逃亡者の祈り幼き逃亡者の祈り
パトリシア ルーイン Patricia Lewin 林 啓恵

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  1. 2006/06/01(木) 21:07:30|
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