Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

深海のアリバイ マイアミ弁護士 ソロモン&ロード

一昨年の「My Best Titles 20」入りした「マイアミ弁護士」の続編。念願叶っての翻訳ですね〜(^^)

二人きりのボートで起こった殺人事件で、ボートに乗っていた実業家のハルに容疑がかかり、ハルと家族
ぐるみで付き合いがあったヴィクトリアが弁護を引き受ける事になった。事件の背後にリゾートホテル建設
を巡る様々な事実が浮かび上がる中、ヴィクトリアの初恋の相手のジュニアにスティーヴは嫉妬して・・・。

待ち望んでいただけに期待も大きかったのですが、いや〜、もう抜群に面白かった!鮮やかなキャラ達に
奥深く巧妙に作られたミステリー、そして小気味良くストーリーを彩る会話の数々。大満足な一冊です(^^)

さて。まずはスティーヴから〜。のっけの「海中ニャンニャン」提案(爆)に始まり、趣味のよろしくないTシャツ
コレクションや法廷に持ち込んだタミーで笑わせつつ、決して万人受けはしないだろうけれど(笑)、愛すべ
き独特のキャラは健在(^^)ヴィクトリアからパートナーシップの解消を通告されても話半分感覚で真面目
には受け入れずだったり、ヴィクトリアにぞっこんだけれど女心の機微を全く理解していない様が、いかにも
スティーヴらしい飄々と間の抜けた温度感で描かれていると同時に私情が絡むと冷静な判断がつかなく
なるあたりも相変わらずと言えるかな(笑)そんな中今回は、父親との関係におけるスティーヴのスタンスや
表情がとりわけ印象深くて、スティーヴが抱える、かつては名判事と謳われた父親に抱いていた愛情と尊
敬の念、更に憎しみにも似た反感や自分を認めて欲しいという想いが入り混じった複雑な感情を、コミカ
ルさとシリアスさを絶妙に織り交ぜながら丹念に読ませていくだけで無く、父親の法曹資格を回復させよう
と粘る姿に真摯さとかひたむきさ、そして強い信念が映し出されていて、その結果スティーヴ自身が大事な
事を学んだ事に確かな意味を感じつつ、凄く良かったな〜と。破天荒だし欠点だらけでおバカだけれど、
人一倍愛情深くて一心でもあり、とても人間臭いスティーヴのありのままの魅力が際立っていました(^^)

続いてスティーヴから独立したいと思うヴィクトリアですが、きちんと洗練されている生真面目なキャラもまた
良く描き込まれていましたね。スティーヴとのロマンスに関しては、関係が何となく煮詰まっているように感じ
られる中、スティーヴのやる事なす事にイラっときたり、「ゴールデン・ボーイ」のジュニアにフラッとするヴィク
トリアの心情が、ユーモアを交えながら細やかに盛り込まれていたと思うし、これだけ何から何まで正反対
だと不満も募るだろうなあ〜とヴィクトリアの気持ちが理解出来たりも(笑)でもやっぱりふとした時にヴィク
トリアがスティーヴの事を考えたり、思ったりするのがとっても微笑ましくて、ほっこりとさせられましたね(^^)
両親にまつわる真相を知り、思案を巡らせながら裁判を一人でやり遂げる事によって一回り成長したヴィ
クトリアの清々しい姿も○。前作時よりも角が取れたと言うか、自然体な感じが増したように思えたかな〜。

そして脇役メンバーズの中ではボビーの元気な姿が凄く嬉しかった(^^)脆さや繊細さよりも図抜けた賢さ、
茶目っ気が前面に出ていて、お得意のアナグラムは勿論の事、コンピューターを駆使して事件解決の手
助けをしたりやスティーヴに対するダメ出し&励まし(笑)までまさに大活躍でしたね。ハーバートの不器用
な父親振りには味わいがあるし、ソロモン家の男連中が集まってやり取りも好きだな〜。あと高慢ちきで
鼻持ちならない「女王」の意外な側面は興味深く思えたりも。雇い主と同じくかっ飛んだ(笑)秘書のシシ
ー他お馴染みの顔触れのほとんどが揃っていましたが、一人一人の個性のくっきりとした立ち具合を楽し
めるし、展開上でのポジションや絡み方にも申し分無し。カラフルにストーリーを盛り立てていました(^^)

父親の法曹資格回復に取り組むスティーヴは、本人の反対や父親の昔の同僚から警告を受けた後に
ハイウェイで何者かに襲われ、ボビーの機転で命を救われますが、一方ハルの弁護を担当するヴィクトリア
は母親とハルの関係に疑問を持ちつつ、初恋の相手のジュニアに惹かれるものを感じる中、嫉妬からジュ
ニア犯人説を説くスティーヴをハルが解雇した事により、スティーヴとのパートナーシップ解消を宣言します。

まずミステリーの出来が素晴らしかったですね〜。リゾートホテル建設に絡む殺人事件とスティーヴが追う
父親が判事を辞める要因となった事件が並行して展開していきますが、どちらも背景からしっかりと固め
られている上に流れがぶれる事も無く細かい部分まで行き届いて読ませるし、特にスティーヴの父親が
関係した過去の一件に関しては、当時の時代性が色濃く出ていて、ミステリーとして質の高い面白みの
中にもしっかりと考えさせるものがある優秀な内容だったと思います。スティーヴとヴィクトリアを囲む人々と
の関係性も過不足無く描き込まれているし、二人が交わす丁々発止なやり取りや個々のエピソードも
痛快。私的にはヌーディスト・クラブの下りが断然お気に入りですわ〜(^^)大爆笑でした(笑)また各々
で親にまつわる真実と向き合っていく過程における、二人の心模様の描出も○。一人よりも二人の方が
より素晴らしいという事実に行き着いたラストの、ベタベタな甘い言葉は一切無くとも相手に対する愛情
に満ちたやり取りも好きだなあ〜。穏やかな爽快感が感じられるんですよね(^^)温暖なマイアミらしさが
漂う空気感もご機嫌そのもので、軽妙な筆致とストーリー構成の巧みさが光る秀逸作品でした(^^)

シリーズは、「Kill All the Lawyers」、「Trial&Error」と四作目までが発表済みですが、是が非でも
続きを出して頂けるように願うばかりですね〜。気長にしつこく(笑)待っていますので、何率・・・(^∧^)

深海のアリバイ 上―マイアミ弁護士ソロモン&ロード (1) (講談社文庫 る 3-3)深海のアリバイ 上―マイアミ弁護士ソロモン&ロード (1) (講談社文庫 る 3-3)
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  1. 2008/06/27(金) 23:35:38|
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白い首の誘惑

ちょっとだけお取り置き〜と思いつつも、新刊に押され続けて、気が付いたら発売から半年近く経過
してしまったこの作品(苦笑)「Jane Rizzoli & Maura Isles Series」の二作目に当たります。

「外科医」と恐れられた連続殺人犯を逮捕した、ボストン市警の女刑事リゾーリは、仲間内からも
一目置かれるようになったが、当時の恐ろしい記憶から完全に立ち直れずにいた。そんなある日
裕福な医師夫妻が「外科医」を彷彿とさせる手口で殺害され、リゾーリは捜査に当たるが・・・。

サスペンス面は前作の方が勢いがあったと思いますが、今回はリゾーリを始めとしたキャラの個性
がしっかりと立った、より人間臭さを感じさせる内容と言えるかな。私的には今作の方が好きです。

今回からヒロインとなる女刑事のリゾーリですが、「外科医」の際には主人公達をくってしまうくらい
のパンチと癖のあるキャラがとても印象強く残っていたので、シリーズの続きでは彼女が主役を
張っていると知り、読むのを楽しみにしていました。キャラとしてはとにかく男勝りで強情。コンプレ
ックスもあるし、周囲には絶対に弱みを見せないようにと常に目一杯肩に力を入れて踏ん張って
いるタイプなのですが、気が強くて可愛げが無いのは確かだけれど、懸命に強く在ろうとする姿が
どこか物悲しいと同時に味わい深く感じられるだけで無く、自分の持てる全てを仕事に注ぎ込む事
によって、自己を確立しようとしているだけに、窮屈な生き方を選んでしまっている中、葛藤や苦悩、
突っ走りながらもふいに自らを顧みる心の動きが、リゾーリというキャラを綻ばせていると同時に
生身に映し出しているなあ〜とも。またリゾーリの強さはとても激しいものだけれど、決して完全では
無く、内には弱さをはらんでいるあたりにグッとくるものを感じるかな。イヴやマギー同様にリゾーリ
の今後の変化や成長が興味深いですね(^^)余談ですが、シリーズを通してどうにも好感を抱け
ずに、タイトルを全て処分するに至った、イ○・ダン○ンのようにはならないと信じています(苦笑)

ヒーロー(になるのかな?(笑))のディーンはFBI捜査官ですが、淡々とした寡黙なタイプで、捜査に
参加する理由を明らかにしない事もあり、捜査を仕切るリゾーリから反発を買います。感情を表に
出さないせいか、ミステリアスな雰囲気を漂わせていて、何となく翳を引きずっているような印象が
あり、落ち着きある、理知的な物腰には安心感を覚えたかな〜。今後リゾーリとの関係が深まって
いくみたいですが、自分とは正反対の個性を持つリゾーリに惹かれてはいるものの、その気持ちに
戸惑いを感じている中、不器用ながらも手を差し伸べようとする姿は素敵でしたね。あとリゾーリの
激しさにはディーンの静けさや奥深さが必要なのかも〜と感じたりも。静かな魅力が○でした(^^)

リゾーリと共にシリーズ名に名前を連ねているモーラですが、検死官という事もあって、解剖の際
にはスマートでクールな個性を見せてくれましたが、リゾーリとの絡みも大して無かったので、次回
に期待といった所でしょうか。脇役キャラでは、リゾーリの相棒のフロストのナイスガイ振りが中々
の好印象。捜査の途中で心臓発作を起こしてリタイアしてしまった、刑事のコーサックの存在も
虚無的で味があったなあ〜。地味ながらも、各々の持ち味が手堅く描出されていたと思います。

「外科医」が刑務所を脱走した後に第二の事件が起こり、第一の事件の犯人である「征服者」と
「外科医」が合流した事が判明しますが、「外科医」が脱走した刑務所を訪れたリゾーリは、所内に
残されていた手紙や写真から、自分が標的として狙われている事を知らされます。ストーリーは
ペースとしては一定した感じで、事件面は前作の延長戦といった印象が拭えずでしたが、鑑識や
解剖結果の描写は手厚くてリアルだし、「征服者」の背景なんかは意外性もあり、興味深く思えた
かな〜。ただ「征服者」と「外科医」のタッグから想像出来る恐怖感や緊迫感がストーリー上であまり
作用していないような印象で、「外科医」の脱走に関して等細かい部分における疑問点が幾つか
ありました。あと「犯人対警察」というより、「外科医対リゾーリ」という視点寄りで描かれているせい
なのか、警察の動きがもう一つな感じなんですよね。あっさりとしたオチも含めて、何となく物足り
ない感じも残っていますが、リゾーリというキャラで読ませる部分から得る満足が大きいのは期待
通りと言えるかな。ラストで事件現場には行かずに、ディーンの広げる腕の中へ向かうリゾーリの姿
が印象的でした。サスペンス面はちょっとケチがつきますが、作品的には○。続きが楽しみです。

9月に「聖なる罪びと」が刊行されますが(うわっ、発売4日になっているよ(^^;))、このシリーズの
続きは順次文春文庫から翻訳されるとの事です。しっかし文春さんと言えばI・ハウスは・・・(笑)

白い首の誘惑 (文春文庫 シ 17-2)白い首の誘惑 (文春文庫 シ 17-2)
安原 和見

文藝春秋 2007-03
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  1. 2007/08/31(金) 21:57:34|
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恋はストンと落ちるもの

「キス・キス・キス」が当たりだったドナ・コーフマン。未読の山の中から救出したのがこの本です。

オンライン雑誌の人気コラムニストのダンジィは、病気の友人の見舞いに行くという大伯母の
ミリセントに頼まれて留守宅を預かる事になったが、家には大伯母のアシスタントだと言うライリー
がいた。見るからにパッとしない印象のライリーにタンジィは何故か心を惹かれるが、ライリーは、
ストーカーからのメールに悩むタンジィの身を心配した大伯母が雇ったボディガードだった・・・。

面白かったです〜!好きだなあ〜、ドナ・コーフマン。思わず唸っちゃうようなウィットの冴えと自然と
笑いを誘われるピリッとしたユーモア。でもしっかりとエモーショナルに読ませる部分もあって、作品
全体を通して流れる、温かい幸福感に大満足です。とっても微笑ましくて、素敵なお話でした(^^)

ヒロインのタンジィは29歳で、オンライン雑誌の人気コラムニスト。既婚者揃いの友人達の中で
唯一の独り身ですが、裕福な大伯母に頼らず、完全に自立している自分の生き方に満足していて、
結婚向きのヒツジ男よりも後腐れ無く遊べるオオカミ男を求めています。ヒツジ男とオオカミ男
の分類についてのタンジィの見解ですが、面白いと同時に頭の良さを感じさせて、良質のエッセーを
読んでいる感覚で楽しかったですね♪クルージーの「キスは極上」で描かれていた、ドーナツ男か
マフィン男かというネタを思わず思い出したり(笑)そしてタンジィについても、スマートで率直な態度
が気持ち良く映って魅力的。人には頼らずに、適度に距離を置いた生き方をしていても、妙に突っ
張ったりせずに、溌剌とした姿が光っていて、伸び伸びとした素直なキャラが好印象でしたね(^^)

D・コーフマンのヒーローは私的に当たりが多いのですが、今回のライリーも凄く良かった〜!
惚れましたね(笑)仕事は出来るけれど、遊びに熱心で会社の経営には一切興味の無い父親に
対する責任を背負っている(苦労系がツボ)と同時に現状に甘んじた生き方をしている事に悩んで
もいる元NFL選手(この部分もツボ)。仕事に徹する為にわざとヒツジ男の皮を被って、オオカミなる
自分を隠していますが、胸の内で悶々と葛藤する姿は可愛くてニンマリだし、そのあたりの描かれ
方も丁寧かつ巧み。でもライリーのオオカミ男的な面よりもヒツジ男的要素とも言える(笑)、優しさ
や包容力、決して退却しない真摯さがより印象的でした。そこに程良いセクシーさが相まって、
とにかく魅力たっぷりなキャラでしたね〜。ライリーがタンジィに言うセリフにも気持ちがしっかりと
こもっているのが伝わってくるし、色褪せたジャージと履き古したウサちゃんスリッパ姿に惚れた・・
なんて、もうそりゃ胸キュンですよ(爆)ときめく一方で安心させてくれるバランス感が◎でした。

タンジィがヒツジなはずのライリーにどこか惹かれるものを感じている中、大伯母の代理で出席
したパーティーの席にストーカーからの手紙が届けられ、調査中のライリーは、タンジィに自分が
実はボディガードである事とタンジィの職場の上司が容疑者の筆頭に挙がっている事を告げます。
タンジィが大伯母の家を出て自宅に戻って以降、二人の仲が大きく進展しますが、二人にとことん
会話をさせるんですよね。性的緊張感が高まっている時でさえ、会話がしっかりと入ってくる。
誰にも頼らず、基本的に一人で生きてきた似た者同士の二人が相手を知り、恋に落ちたという事実
を認め、感情的に戸惑ったり、満たされたりしながら、相手を自分の領分に受け入れていく流れが、
厚く細やかに綴られているので、想いが深まっていくのが感じられるし、相手を真っ直ぐに見つ
めて、理解する各々の視点も良い感じなんだなあ〜。どちらも妙にあらがったりしないしね(笑)
相手を愛する事によって、人生がより豊かになっていく過程が様々なエピソードと共にちゃんと
織り込まれていて、その部分により強くパンチを貰ったかな。ロマンスだけでは無いのが天晴です。

二人のロマンスだけで無く、タンジィの個性様々な友人達や80歳を過ぎてもまだまだ達者で貫禄
十分なミリセント大伯母の存在も賑やかな色を添えていましたが、NBAやNFLの話題でライリーと
盛り上がるミリセントは特にチャーミングでしたね(^^)タンジィとのやり取りは印象深かったです。

最後にはストーカーの件も無事解決して、ハッピーエンドになりますが、始終軽妙なストーリー
展開で、思いがけずホロッとさせる時もあるけれど、笑いやユーモアを忘れないんですよね。
感情が丹念にこもった、心地良い作品でした。キャラ、ストーリー共に抜群で快く楽しめます(^^)

恋はストンと落ちるもの恋はストンと落ちるもの
ドナ・コーフマン 法村 里絵

新潮社 2005-06-29
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  1. 2007/03/02(金) 18:02:25|
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逃走

またしてもお薦め頂いたタイトル。無事(?)年内に読み終える事が出来て、すっきりしています(^^)

特別スクールの教師をしているローラは、子供達と一緒に校庭で過ごしていたが、いつも通りが
かる老紳士が目の前で殺害される場面に遭遇した。その老紳士がマフィアのボスで、ローラが
受け持つ双子の自閉症児が犯人の顔や乗った車のナンバーを覚えていた事から、ローラは双子と
共に警察の保護下に置かれる事になり、隠れ家に向かったが、やがて情報がリークされて・・・。

とても実直なサスペンスで、ストーリーの大半を主人公達が殺し屋に追われながら過ごす展開
ですが、最後まで緊迫感が持続する面白さだし、個性と魅力が溢れる脇役の存在や子供達への
思いやりに満ちた眼差しにしっとりとしたロマンス等、全篇に渡って味わい深さが漂う作品でした。

まるで計ったように、毎日必ず同じ時間に学校の前を通りかかる老紳士が目の前で殺害され、
数字や記憶に図抜けた才能を持つ、自閉症の双子が事件の唯一の目撃者になりますが、双子の
父親は妻亡き後は子供を学校に預けっぱなしの状態で、国内に居ない為に教師のヒロインが
子供の世話役として、検事補のヒーロー他FBIの捜査官等の護衛と行動を共にする中、とにかく
状況がハード。当然楽な逃亡生活なんて無いけれど、常に後ろを気にしなければいけない
かたわら、変化を嫌う双子が少しでも落ち着いて過ごせるように、部屋の中を出来る限り日常と
同じようにセッティングし、安心させるように努めながら、日々の授業もこなそうとするヒロイン
の献身振りには頭が下がる思いだし、子供達は人生を愛する事が出来るし、人生を生きる権利が
あると信じるヒロインの思いが心に響いてくると同時に主人公達に活力を与えている双子が、
いろんな意味で無くてはならない存在でしたね。元警官で負傷後、検事補になったヒーローの
フットワークの良さが際立っていましたが、共に苦い過去の持ち主であるこの二人のロマンスも下手
すれば取ってつけたような内容になりそうな所を、過酷な状況下で相手を信頼し、関係が築かれて
いく過程が優しく何気ないタッチで描かれていて、自然な心の触れ合いが良い感じでした。

仕事を与えた下っ端の勝手な行動のせいで、マフィアのボスが殺害されてしまった事態を収拾
すべく目撃者を消そうと、自分のドジを隠す為の作り話をでっち上げたコロンビア人カクテルの
幹部が殺し屋を何人か雇い、ヒロイン達の後を追わせますが、マフィアのボスの殺害の裏には
国際問題に発展しかねない事情が絡んでいたり、警察内部から情報が漏洩されるだけで無く、
新聞にまでネタが売られたりなどストーリーは起伏に富んだ展開で読ませるし、登場する殺し屋
のキャラも個性豊かに描き分けられていたりと全体的に上手さが行き届いていると感じでしたが、
中でもヒーローの昔馴染みで、撃たれたFBI捜査官の治療をしてくれるおじいちゃんドクターが
素敵なキャラで、年寄りキャラ好きのアンテナが激しく反応してしまいました(笑)家族を次々に
失ってしまった孤独の中で暮らしている姿に譲れない強さや気骨が垣間見えて、わかってはいた
けれど、FBI捜査官同様にその最期は切なかったなあ〜(涙)殺し屋が憎らしかったです(怒)

隠れ家が殺し屋に見つかってしまい、襲撃を受ける終盤のシーンもびっくりするくらい激しい
ドンパチが繰り広げられて、子供を一人ずつ抱えたヒロインとヒーローで応戦しますが、緊迫した
内容はハラハラしっぱなしで盛り上げ十分だし、中でも生きる為に銃を持って戦うヒロインの勇敢
な姿はあっぱれでしたね〜。最後には情報を漏らしていた汚職警官も捕まり、コロンビア人の流儀
を通した決着の付け方に驚きつつも、過去にワールドカップでオウンゴールをした選手が、帰国後に
殺されちゃうような国だしなあ・・・・と思うと納得出来たり(^^;)あと捨て鉢な人生を送っていた双子
の父親が改心した事も、子供達だけで無く父親自身にとっても良かったなあ〜と。死んでしまった
キャラを思いつつも、ロマンスもちゃんと実ったし、すっきりと温かなエンディングでした(^^)

サスペンスの面白さは勿論の事、気持ちの良い主人公達と味のある脇役もヨシの、ドラマ性の
高い秀作でした。やり取りされる人情がさりげなくて良いんだなあ〜。お薦めに感謝です(^^)

逃走逃走
ベサニー キャムベル Bethany Campbell 北沢 あかね

講談社 1997-05
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  1. 2006/12/07(木) 18:49:17|
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時のかなたの恋人

お友達にお薦め頂いたデヴロー作品。「眠れる美女のあやまち」がスカったせいで、未読の山に
放置する事三年半以上。お薦めが無かったら、きっと相変わらず未読のままだろうなあ〜(^^;)

ダグレスは恋人と出かけた旅行先のイギリスで、同行していた恋人の娘がついた嘘のせいで
喧嘩をした挙句、観光中の教会に一人置き去りにされてしまった。だがショックで泣いていた
ダグレスの前に鎧を身に着け、16世紀のイングランドの伯爵を名乗るニコラスが現れて・・・。

「デヴロー作品にもいいお話があるじゃないの〜ヾ(>▽<)ゞ 」っていうのが読了直後の一言。
しかもこの作品のヒロインは「運命の〜」のヒロインの実家、モンゴメリー一族の末裔だったのね。
そんな発見もアリで嬉しかったし、ストーリーも全体的に良く出来た内容で、最後は思いがけず
ホロリとさせて大満足。思っていたようなタイムトラベル物とは一味違う風合いも当たりでした♪

バカな恋人と可愛くない娘に自分をいいように使わせていて、是が非でも結婚したくてたまらない
ダグレスの言動にイライラする人も多いだろうなあ〜と思った序盤ですが、そういう私もこんな男
に尽くそうとするヒロインの心情は全く理解出来なかったけれど、優秀な姉たちに囲まれて常に
みそっかす状態の自分に対する評価の低さがダグレスの言動の根底にあるのがわかってからは、
見方も徐々に変わりましたね〜。ダメな部分ばっかり描かれていたわけでは無かったし、バカ男と
別れて以降はニコラスに対して一生懸命になるダグレスのキャラにも良さが見えてきて、しかもあの
モンゴメリー一族の血を引いているとなると、普通のキャラでは無いよなあ〜と妙に納得したり(笑)

そしてニコラスが良かった〜(^^)何だかレビューの度にヒーローを誉めている私ですが(爆)
現代にタイムスリップして以降のニコラスの反応のおかしいらや可愛らしいやらで微笑ましかった
ですね〜!アイスと紅茶が好きで、文明の利器ではテレビと計算機がお気に入り(^^)自分の
格好の良い足を隠してしまうズボンに不満を抱いたり、ゴムに目を輝かせたりと挙げ出したらキリ
が無いんだけれど、本当に可愛かったですね〜。ダグレスの気持ちに対して敏感なのもヨシだし。

ニコラスは自分を陥れた人物を突き止める為にダグレスを雇って(笑)、歴史を辿りますが、二人が
愛し合った直後にニコラスが消えてしまい、その後今度はダグレスが16世紀にタイムスリップして、
ニコラスを処刑から救うべく孤軍奮闘する展開の中で、タイムスリップした年がニコラスが処刑
される4年前だった事から、ニコラスはダグレスに会った事を忘れていて、状況が容易くいかない
のも良い意味で意外だったし、歴史を変えようと立ち回るダグレスの懸命な姿に成長振りが見ら
れたのも良かったですね〜。家名を守る為に婚約者と結婚しなければならないニコラスとニコラス
を死なせたくないと必死で説得しようとするダグレスの間に通う愛情のやるせなさやどういう決断
を下すべきか苦しむ二人の心情には感じ入るものがあったりで、二人が行き着くハッピーエンド
が、キャラのどっちかが一方の時代に落ち着くという形で無かったのも印象深かったです。

元恋人と娘の態度の豹変が輪廻に関係するのでは・・というニュアンスも興味深いものである
と同時にラストの機内でのエピソードもホロっとさせつつ、でもニコラスの魂がしっかりと感じ
られる、優しく爽やかな終わり方で、私的にはツボでしたね〜。更にダグレスがタイムスリップ後
の経験によって精神的に一皮向けて、自分自身を見出した部分が描かれていたのも○でした(^^)

全体的を通して抜かり無く描かれた読み応え十分の良作でした♪他のデブロー作品は私的に
どうもイカンのですが、あれだけ冊数あるんだから、もっとちゃんとした(笑)作品を邦訳
して欲しいと思う事しかりですね〜。とても同じ作者とは思えない出来の差ですよ( ̄_ ̄|||)

時のかなたの恋人時のかなたの恋人
ジュード デヴロー Jude Deveraux 幾野 宏

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  1. 2006/12/04(月) 22:58:43|
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スキャンダル

あまりに多すぎて、何から読んでいいのかさっぱりとわからんちんなノーラの未読本。なので
お友達に訊いた所、このタイトルを挙げてくれたので着手。お世話になります、ありがとう(^^)

ディアンナは、シカゴのTV局でリポーターの仕事をしながら、いつかは自分の番組を持つ事を
夢見ていた。一方トークショーの女王アンジェラは、そんなディアンナの才能を警戒し、常に
側に置いておく為に破格の条件を付けてNY行きの話を持ちかけるが、ディアンナは断り・・・。

ノーラの作品を読むと(読みながら)大抵感じるのが、力強さと安定、そして面白さ。TV界を
舞台にしたこのストーリーも、その3つの要素でがっちりと読ませる、とても優れた作品でした(^−^)

ストーリーは、シカゴで自分の番組を成功させたヒロインが、かつての先輩でもあるトークショー
の女王に呼び出されて、TV局に行った所、女王は殺されていて、ヒロインも何者かに殴られて・・
というプロローグから、一旦四年前に遡った内容で進んでいきますが、事件現場のリポーターの
ヒロインが、忙しいスケジュールの合間をぬって、自分の糧になるからと女王の雑用をこなし
ながら、いつか自分の番組を持つ計画を立てていたりと、野心はあるけれど、気持ちの面では
周囲に気を配る事が出来て、人の痛みに敏感だったりとノーラ作品のヒロインによく見られる、
時には強すぎるくらいの強さ(笑)の加減がちゃんときいた、優等生的なタイプだったのが
とても読みやすくて好印象でした(^^)成功していく過程においてのヒロイン自身の成長や
変化を着実に感じさせつつ、一生懸命に頑張る姿がとても気持ち良く映るキャラで○でしたね(^^)

TV局の海外特派員のヒーローはまさにノーラの描くタイプそのもの。一旦照準を定めたら、一切
よそ見はしないし、ヒロインの感情の機微を敏感に感じ取りながらの押し引きも巧みで、申し分の
無いキャラでした。女王がNYへ去った後、ヒロインが自分の番組を成功させようと奮闘する一方で、
ヒーローは戦争の現地リポートの為にクウェートへ飛びますが、戦争を目の当たりにするヒーロー
の心情に生じる変化やその結果の帰国後の生き方の軌道修正等、ロマンス面の役割だけで終わら
ずに、人としての中身がしっかりと描かれているあたりが印象的だし、さすがノーラだなあ〜と。

じっくりと進行していく二人のロマンスも、一旦関係を築いて、それからが時間的には
結構長くて、結婚を望むヒーローと自分の問題は自分だけで処理しようとするヒロインとの
間の気持ちのズレや摩擦なんかにも、ヒロインの優等生的なキャラならではの良し悪しが
見えるし、とにかく上手いというか、ロマンスの機微を自然な感触で読ませるんですよね〜(^^)
大概は出会ってから関係を結んで、事件や何だとすったもんだの末にハッピーエンドだけれど、
この作品の中で描かれたようなロマンスはあまり見ないというか、恋人になってからの時間の
経過もあるせいか、上手く言えないんだけれど、熟していくような流れが新鮮に思えましたね。

成功する前からヒロインにはストーカーから断続的に手紙が届いていましたが、婚約後は
ストーカーの行動が過激になり、遂には女王が殺害されて次の殺人が起こる中、犯人がTV局
の内部の人間である疑いが出てきて、刑事とヒーローが捜査を進めますが、犯人は比較的
わかりやすいというか、特に驚きは無いけれど、犯人の心理もちゃんと挿入されていたし、
ヒロインを自宅に隠した仕掛けには、ヒロインを探しにきたヒーローを追いながら、ちょっと
ハラハラしました(^^)犯人の幼少時の環境が、結果精神を病む要因になったという事実
については、殺人を楽しむ凶悪犯とは違う何かを読後に残す印象で、あと女王に関しても、
性格悪の嫌な女なんだけれど、両親に愛されなかった貧しい少女時代のトラウマが残っていて、
実は胸の内では常に人から愛されたい求められたいと思っているのが何とも哀れに映りましたね。

TV業界の背景も過不足の無い描写で妥当だったし、ノーラならではのテイストとリズムで
面白く、明快に描き抜かれた秀作でした(^^)さて次のノーラは何を読もう(笑)軽めにLSかな?

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  1. 2006/11/16(木) 19:42:16|
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マイアミ弁護士 ソロモン&ロード

衝動買いしてしまった作品。シリーズ物なので、順調に邦訳される事を願うばかりです(^^;)

弁護士のスティーヴは、鳥の密輸裁判で知り合った検事のヴィクトリアに一目で惹かれるが、
彼女はスティーヴを嫌っている事を隠そうともしなかった。結果裁判は無効審理になり、検事の
職を失ったヴィクトリアにスティーヴは、死んだ富豪の事件を一緒に手がけようと持ちかけるが・・。

帯には「ロマンティック・サスペンス」の謳い文句がしっかりと書かれていましたが、厳密に言うと
違うなって(笑)私的には帯の裏面に書かれていた、本文から抜粋したセリフに惹かれて買って
見ましたが、これが大当たり(^^)存在感のある主人公達を魅力的な脇役が囲みつつ、ユーモア
に富んだ軽妙な会話と手堅く面白いリーガルで読ませる、人間味溢れる温かな作品でした。

主人公のスティーヴ(ロマンス小説では無いし、ヒーローって感じじゃないんですよね〜)は
必要ならば法をいじる事も辞さない、数々の独自法(?)を掲げる破天荒タイプの弁護士で、
他では断られるような弁護ばかり引き受けていますが、このキャラが良いんだなあ〜(^−^)
頭が切れる曲者だけれど、法よりも人情を重んじる弁護士っていう部分がとってもチャーミング
に描かれているので、生真面目なヴィクトリアが振り回されながらも惹かれていくのが凄くわかる
んですよね〜。うわべはロマンティックのかけらも無いように振舞っているんだけれど、実は
かなりのロマンティストだったり、婚約者がいるヴィクトリアに対する想いを中々伝えられない
もどかしさや葛藤など(ボビーに赤裸々な私生活を暴露されて(笑)慌てるスティーヴが最高!)
スティーヴの心情や内面の奥深い部分が全編を通じてありのままに体現されている中、やはり
特筆したいのが障害を抱えた甥っ子のボビーに注ぐ揺ぎ無い愛情と献身だなあ〜。愛情は人百倍な
スティーヴと薬物依存症の母親のせいで障害を負いながらも聡明なボビーの心の繋がりの深さ
にじわーっと来る場面がありました。実母に連れ去られそうになったボビーを懸命に追いかける
スティーヴにはただただ感動ですよ〜(><)無事助け出した時には私も思わず安堵(笑)
人としての温もりを感じさせるスティーヴのキャラがとにかく輝いていて◎でした!(^^)

一方のヴィクトリアは秩序と思慮を重んじる生真面目タイプで、大金持ちで菜食主義者の婚約者
との結婚を間近に控えています。検事局での職を失って、独立をする手始めとして、知り合い
でもある死んだ富豪の妻の弁護をスティーヴと一緒に受け持つ事になりますが、婚約者がいるのに
スティーヴに惹かれてしまう戸惑いやあるがままのボビーを受け入れて愛する優しさ、ハチャメチャ
なスティーヴよりもずっと安全で堅実なアボガド王子の婚約者(笑)を選びたいと思うヴィクトリア
の内面の揺れがユーモアを含んだ細やかな筆で表現されていて、ヒロインとしての魅力と存在感を
十分に感じさせました。初めはスティーヴが法律家としてのノウハウを経験の浅いヴィクトリア
に仕込むという事だったけれど、言い合いをしながらも、パートナーとして自然に関係が出来
上がっていく中、各々が相手に良い影響を与えているのが如実に感じられるあたりが秀逸で、
特に終盤に描かれたボビーの保護監督権裁判においてのヴィクトリアの活躍振りはお見事だし、
私情が絡む事になると冷静に対応出来なくなるスティーヴを助けたヴィクトリアの鮮やかな機知
がとっても痛快でしたね〜。ラストにヴィクトリアがようやく婚約を解消して、スティーヴと公私
におけるパートナー関係を続行する事になりましたが、この二人の今後が本当に楽しみです(^^)

ストーリーは富豪の死の裁判とボビーの保護監督権のネタを中心に進んでいき、どちらも
しっかりとした抜かりの無い内容で描かれていて、冴えたユーモアとウィットでテンポ良く
読ませますが、(特に序盤の鳥裁判の下りはかなり真剣に笑えた・爆)富豪の事件に関しては、
「レインマン」のような才能を持つボビーの大活躍に目を見張るし、保護監察権の方はスティーヴを
嫌うが故にボビーの保護監督権を奪おうとする州の代理人が、服役していたスティーヴの姉を釈放
させたり、ボビーを実験台にしようと目論む女医の存在などムカつくキャラもそれなりの存在感を
放っていました。裁判所荒らしのマーヴィンや料理人のキャディラックなどスティーヴとヴィクトリア
を取り巻く個性的で賑やかな周囲の面子がストーリーに弾みを与えていて、しかもそれぞれが
ちゃんと活躍しているのがナイスだし、スティーヴの父親が裁判の席で息子の人間性を語るシーン
は何とも深くて、まさに見せ場とも言えて、不器用なりにも確かな愛情が感じられる二人の
親子関係も良好になって、最後には全てが温かく、すっきりとしたのも気持ちが良かったですね(^^)

リーガルな視点から追う事件は充実した面白さだし、じれったいと同時にほのかにエモーショナル
でもあるロマンスの行方にやきもきしつつ、父親と息子、叔父と甥っ子の間に通う大きな愛情に
ホロリとしながら、相手があってこそより輝く主人公二人に惹き込まれて一気読みした作品です。

王道のロマンティック・サスペンスを求めちゃうと外すと思いますが、とても魅力のある
ストーリーだし、私的には強く推しちゃう優秀な一冊(^^)本国ではシリーズの第3作が発表
されているみたいですが、続きは是が非でも読みたいなあ〜。放置されませんように!(切実)

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  1. 2006/10/18(水) 21:21:04|
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