Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

囚われの恋人―ジュリアン

先々月の本命本にやっと着手しました(笑)シェリリン・ケニヨンの「ダークハンター・シリーズ」です(^^)

ある満月の晩、グレイスが友人と共に呪文を唱えると、本の中からジュリアンという男性が姿を現した。
次の満月の間まで愛の奴隷としてグレイスに奉仕すると言うジュリアンに対して関係を持たない事を提案
したグレイスは、ジュリアンを過酷な運命から救おうと決心し、やがてその方法が明らかになるが・・・。

期待も十分に取っ掛かりましたが、キャラ、ストーリー揃ってパワフルで、作品全体が鮮やかに生き生き
としていましたね〜。類を見ない着想に惹き込まれる事しかりの一気読みでした。大満足の一冊です(^^)

ヒロインのグレイスはセラピスト。満月の晩に友人のセレナの誘いにのって呪文を唱えた結果、本の中から
愛の奴隷のジュリアンを呼び出してしまいます。このグレイスですが、とても雰囲気が良かったですね〜(^^)
基本的に前向きで、優しさや思いやりが自然と出る様は勿論の事、ジュリアンへの言動を通して、温かな
人柄だけで無く、グレイスの中で物事に対する明確な基準があると言うか、芯が通っているのが感じられる
のが好感度大。ジュリアンの色気(笑)に押されつつも、自分の信念にちゃんと沿って判断が下せるんです
よね。あと臨機応変に受け入れる柔軟性(?)やジュリアンに対する真っ直ぐな向き合い方もあっぱれかな。
またジュリアンへの愛情が深まっていきながら、グレイス自身の孤独が浮き彫りになる様も着実な描写で読
ませていくし、愛情や献身、そして出来る限りの事をジュリアンに差し出し、与えようとするグレイスのスタンス
が◎。本の朗読や車の運転といったささやかなエピソードからもグレイスらしい思慮が窺えて、優しい気持ち
になると同時にグレイスはまさしくジュリアンのために生まれてきたんだな〜と強く実感させられましたね(^^)

ヒーローのジュリアンは愛の女神アフロディーテとスパルタの軍人の間に生まれた、かつてのマケドニア王国の
将軍ですが、不仲の兄がかけた呪いによって本の中に閉じ込められてしまい、以後二千年もの間女性達
のベッドと本の世界を行き来しています。このジュリアンですが、神々しいばかりに性的魅力を放っているけ
れど、そこはかとなく漂う悲愴感が雰囲気に一風違う趣を加えているように思えたかな〜。ゴージャスなルッ
クスの持ち主という設定の中、外見的な部分以上に辛い過去を背負い、過酷な運命に縛られていながら
も、生来の人の良さや気持ちの優しい所を見せたり、茶目っ気や可愛い一面が光るジュリアンの内面が、
手厚く掘り下げられていたのが印象的でしたね。自己評価が低くて、痛いまでの孤独を抱えながら、自分
の境遇を諦めてしまっているジュリアンが、グレイスに愛情を注がれる事によって癒されていく一方で現在と
解放された後の未来において自分の居場所や生き方に悩み、葛藤する流れにも感情的に深く、真摯さ
が感じられて、切なく映ったりも。勿論グレイスにメロメロだし指輪を売ったエピソードとかも良いんだな〜。
ジュリアンの内側の奥深い部分に触れながら、人間臭さのある魅力にすっかりと魅了された次第です。

脇役陣もまた個性様々といった感じで、かなり飛んだ(笑)絵柄が見られましたね〜。女神とは言っても、
強烈なエゴを持つ一人の女性で、そんな中に母親としての不器用な顔が見え隠れしているアフロディーテ
や革ジャンを着たエロス、そしてオカルト好きの占い師で古代史に詳しいセレナといったキャラ達のカラーが
くっきりと出ていて、立ち位置も相応。主役の二人を囲みながら、ユニークな風合いで楽しませてくれました。

自分の身体を利用してジュリアンを呪いから救う事を決心したグレイスは、次の満月の日までジュリアンと
関係を持たずに過ごしますが、徐々に欲望を抑制しきれなくなったジュリアンは自らを手錠で繋ぎ、日々
消耗していく中アフロディーテが現れて、苦しむジュリアンを救います。ストーリーは、ネタこそかなり荒唐無
稽と言えますが、導入から何の違和感も無く滑らかに入っていく感じかな〜。グレイスとジュリアンの関係性
は、ホットなやり取りを交えつつも、それぞれが抱く哀しみや痛み、孤独感を表に出しながらの心の触れ合
いをメインにしっかりと描き出されていて好感触。お話の筋立てそのものに細やかさは見られず、勢いで押
し切るような場合も見られますが、全篇を通して真面目に読ませていく真っ直ぐさ、みたいなものがあって、
それが作品の妙となっていたかな〜とも。突飛かつセクシーでいて、とってもセンシティヴな良質作品です。

後書きによると、シリーズの翻訳が決定しているとの事で何よりですね。短編も含めてかなりのタイトルが
刊行されていますが、次回作は「Night Pleasures」。今年中に読めれば嬉しいけれど、どうかな〜?(笑)

囚われの恋人―ジュリアン (ラズベリーブックス ケ 1-1)囚われの恋人―ジュリアン (ラズベリーブックス ケ 1-1)
シェリリン・ケニヨン 佐竹 史子

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  1. 2008/05/23(金) 23:13:00|
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One Silent Night

今年の秋に発表される「ダークハンター・シリーズ」の最新刊。本国では順調に続きが刊行されている
みたいですね〜。翻訳の方もせめて年二冊くらいのペースで読めたらな〜とか勝手に思っていますが、
とりあえずは「The Dark-Hunter Companion」を開いて、シリーズの予習をしておこうかな〜(^^)

One Silent Night (Dark-Hunter Novels)One Silent Night (Dark-Hunter Novels)
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  1. 2008/05/23(金) 23:12:30|
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