Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

最後の銃弾

少し前に読んだサンドラ・ブラウンの昨年の刊行作品。近年のサンドラ作品では一番の当たり作でした。

サヴァナ警察の殺人課刑事のダンカンは、レアード判事宅に侵入した犯人が射殺されたとの知らせを受け、
現場に向かった。侵入犯を撃った判事の妻のエリースと判事が正当防衛を主張する中、ただの押し込み
では無いと感じたダンカンは捜査を開始するが、そんな中ダンカンは謎めいたエリースに惹かれていき・・・。

いや〜、一気読みでした。サンドラ・ブラウンの作品では、久し振りの本棚キープとなりましたね(笑)以前
からこのBlogでも触れていますが、サンドラ・ブラウン名義のシングル・タイトルは、作品の良し悪しとは別に
キャラのあくの強さとか、どうも私の中で消化し切れないものが多いようでして。キャラにしろストーリーにしろ
本当に力があって上手いのですが(笑)でも今作は作品そのものにひたすら熱中して楽しめたんですよね。

まずヒーローのダンカンが良かったです。荒っぽい真面目さと苦味のあるセクシーさが混在したような魅力が
あると言うか。正義感溢れる刑事としてだけで無く、エリースへの想いに葛藤する生身の部分も味わい深く
読ませてくれたし、ディーディーとのやり取りで見せる適度に砕けた表情や「ピアノ・マン」な一面も良い感じ
だったな〜(^^)男臭さや人間味、力強さといった要素のどれも行き過ぎずに相乗しながらダンカンの個性
として過不足無く納まっていて、独特の風合いを醸し出しつつ、サンドラ・ブラウンの近年の作品の中では、
私的に心情的に一番しっくりと来る温度感を持ったヒーローでしたね。対するエリースは、謎めいた雰囲気
と意表をつく行動パターンがキャラを掴ませない中、エリースに対して、ダンカンの考えや心理に同調しなが
ら追っていく感じだったな〜。常にミスティックな部分が前面に出ていたキャラなので、そこに感興を覚える
一方で終盤で見せる素顔にはほろ苦いものを感じつつ、一息ついたような気持ちになったりもしましたね。

事件の捜査を続けるダンカンはエリースに関する新たな事実を掴みますが、そんな中エリースに呼び出され
て助けを求められる内に関係を持ってしまうもののエリースの言う事が信じられず、その後事件に関係して
いたと思わしき私立探偵がエリースの車の中で遺体となって発見され、エリースの行方がわからなくなりま
す。ストーリーは、序盤からぐいぐいと引き込んで読ませていきますが、よく練られたプロットに登場人物達
を巧みに錯綜させながら、二転三転する展開は先が読めず、最後まで気を抜けない緊密さに満ちていま
したね〜。パワフルで、細部まできっちりと完成された内容でありながら、展開として細かすぎる事も無く、
キャラの個性の出方や重量感も申し分無し。サスペンスの濃さに対してロマンスの色合いも程良かったと
思います。近年の作品が一読で終わっていたので、思いがけない喜びでした(笑)大満足の秀作です(^^)

今年の8月に新作の「Smoke Screen」が発表されるそうですが、昨年刊行された「Play Dirty」も含めて
今後集英社さんから出るのかな?集英社さんと言えば、放置プレイの作家は諦めろという事でしょうか(泣)

最後の銃弾 (集英社文庫 フ 18-18) (集英社文庫 フ 18-18)最後の銃弾 (集英社文庫 フ 18-18) (集英社文庫 フ 18-18)
サンドラ・ブラウン 秋月 しのぶ

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  1. 2008/04/27(日) 23:59:38|
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ザ・キル

コンテンポラリーを読みたくて、昨年の新刊を救済(笑)アリスン・ブレナンの三部作の完結編です。

5歳の時に目の前で姉がさらわれ、殺害された過去を持つオリヴィアは、FBIの研究員として働いて
いたが、ある日姉殺しの犯人として服役中していた男の冤罪が確定した。真犯人が現在でも犯行
を繰り返している事を知ったオリヴィアは、身分を偽ってシアトル警察のザックと捜査に当たるが・・・。

一作目はまずまず、二作目はイマイチといった感じだったので、三作目は正直期待せずに読んだの
ですが(^^;)、これが思いがけず面白くてちょっと驚いたりも(笑)シンプルに良いサスペンスでしたね。

ヒロインのオリヴィアはFBI研究所の研究員。34年前に目の前で姉が誘拐、殺害された過去があり
ますが、ある日姉殺しの犯人がDNA鑑定の結果無罪になった為、野放しになっている真犯人を捕
まえようと行動を起こします。重い過去を持ち、他人と心から解けられないというキャラはこのシリーズ
のヒロインに共通している要素ですが、今作のオリヴィアが一番取っ付きやすかったと言うか、受け入
れやすい感じだったかな(笑)研究員なのに、捜査官と偽って捜査に参加するという無謀な行動も
状況を考えれば納得がいくし、犯人逮捕に真摯に取り組む姿勢も印象が良かったです。頑固だけ
れど行き過ぎず、また姉の一件とその後の家庭崩壊がオリヴィアに与えた影響の重さや根深さが、
被害者家族とのエピソードや堅実な人物描写からしっかりと伝わってきましたね。無駄に感情的に
なったりせずに、自分自身や内で抱えているものに対して客観的な目を持っているあたりやどことなく
脆さが漂うのも○。過去との折り合い方も自然でしたね。過去のヒロインズ同様に華があったり、強烈
な個性が立つ程では無いけれど、さらっとした女性らしさもあり、バランスが取れたヒロインでした。

ヒーローのザックはシアトル市警の刑事で、連続している少女誘拐殺人事件の犯人に繋がる情報を
持つオリヴィアと共に捜査に乗り出します。真面目な正義漢といった感じで、刑事らしい熱心さが感じ
られたりも。FBIには良い感情を抱いていないも関わらず、オリヴィアにはフェアな態度でちゃんと接するし、
信頼出来そうな印象がありましたね。亡くなった妹やその恋人だった記者との関係から読み取れるもの
はそれなりといった所でしたが、オリヴィアが捜査員と偽っていた件に対する反応やクールダウンした後
の率直さを通してザックのキャラに色が増したように思えたかな〜。中々の存在感だったと思います。

FBI捜査官として身分を偽ったオリヴィアは、シアトル近郊で連続している少女の誘拐殺人事件が、
姉を殺害した犯人と同一犯である事を確信し、ザックと共に地道に捜査に当たりますが、無罪放免
となって釈放された男の証言によって犯人とおぼしき人物が浮かび上がるものの、新たな少女が連れ
さられてしまいます。ストーリーは警察側と真犯人、冤罪が立証された男など視点を入れ替えながら
描かれていきますが、まずオリヴィアとザックが性的な引き合いに走らずに、捜査メインのスタンスをキープ
したまま相手を知っていく事で惹かれていく流れや証拠や状況を判断しながら地道に突き詰めていく
警察側の動きと過去に苦しみつつも真犯人逮捕を目指すオリヴィアの心情が相まってよく描かれて
いました。あと一作目、二作目同様に現在の事件がヒロインの過去に関係していますが、事件面
に対するヒロインの立ち位置が一番しっくりきたと言うか。オリヴィアの個性による所なのか、キャラと
ストーリーの絡みが良い感触だったし、展開にも適度な勢いと安定感があり、描写も厚めでしたね。

ただ一つ残念なのは、冤罪で刑務所に入っていたキャラの扱いかな〜。34年間という歳月を不当
に奪われた挙句、無罪放免になっても家族に冷たくされ、怒りの余り自分を刑務所に送った当時の
関係者を殺害して回るのですが、この男とオリヴィアの最後のやり取りがどこか軽々しい感じがした
んですよね。この作品は冤罪が主旨では無いので、その部分を掘り下げるとまではいかなくても、
塀の外の世界に失望した男の心情がちゃんと挿入されているだけに、もう少し重みのあるオチがつい
ても良かったのでは・・・と私的に思いました。でもトータルでは○。地味めですが、良作でした(^^)

今後の翻訳についての詳細は不明ですが、「Speak No Evil」、「See No Evil」、「Fear No Evil」
のトリロジー作品に続いて、「Killing Fear」が刊行予定との事です。いつか翻訳されるのでしょうか。

ザ・キル (集英社文庫 フ 26-3)ザ・キル (集英社文庫 フ 26-3)
安藤 由紀子

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  1. 2008/02/07(木) 22:36:36|
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ザ・ハント

A・ブレナンの三部作の二作目。新刊買いにも関わらず、またしても一ヶ月遅れで読了しました(笑)

FBIアカデミーを退学したミランダは、故郷の保安官事務所で山林救難の職に就き、十二年前に自分
を強姦し、今でも犯行を繰り返している連続殺人犯の逮捕に全力を注いでいた。そんなある日新たな
犠牲者が遺体となって発見され、ミランダの元恋人で、FBI捜査官のクインが捜査に参加する事になり・・・。

う〜ん・・・。前半から中盤にかけて、正直読んでいて疲れを感じてしまったせいか、後半部分も完全
には乗り切れない感じだったかな〜。つまらないわけでは無いのですが。とりあえずレビューします(苦笑)

ヒロインのミランダは、十二年前に友人と一緒に連続殺人犯に捕らえらたものの、殺害される寸前に
逃げのびた過去があり、その事がきっかけとなってFBI捜査官になる事を決意しますが、卒業する直前
に退学し、故郷に戻って以降は地元の保安官事務所に勤務しています。とにかく強くて逞しいのです
が、読んでいて息苦しさを覚えてしまったと言うか(^^;)ミランダの過去やましてや犯人が野放しになっ
ている現状を思えば、事件にのめり込む生き方も当然と言えるし、そういう姿勢が内面の葛藤と共に
よく描かれてはいるのですが、事件当時の回想においても、傷ついた状態にも関わらず、強い面が
より前に出ているようで、あっぱれな反面そういった資質に息が詰まる感じで、物事の見方に客観性
を欠く部分やらも含めて、何かこう・・・引いてしまったんですよね。恐怖や弱みも読み取れるけど、
私的には強すぎるように映ってしまったな〜と。上手く言えないけれど(^^;)それでも後半からは徐々
に解れてきましたが、よくいる無駄に強情なヒロインとはまた違うだけに、何とも微妙でしたね(^^;)

ヒーローのクインは、十二年前にミランダの事件を担当したFBI捜査官で、その後恋人になりますが、
クインがミランダの精神状態やFBI捜査官になるという動機に疑問を持った結果、卒業試験に不合
格が出された為に、ミランダから一方的に別れを告げられてしまいます。一作目の時点で、ヒーロー
としての資質には疑問を感じていましたが(笑)、やっぱり化けなかったですね(^^;)優しくて実直な
キャラといった感じですが、例えば優しい面だけでも突出していれば、ミランダの強さに対してのクッシ
ョン的な役割を果たしてくれたかも〜とか何となく思ったりしつつも、如何せん存在感が薄い(苦笑)
何かしら光るものを見せながら、地味なりにキャラ立ちするヒーローも少なからずいるんだけれどな〜。

現場に残された証拠やプロファイリングに基づいて、過去の被害者の関係者達を洗い直したりと
ミランダ達の地道な捜査が続く中、新たな犠牲者が出た事が発覚し、更に犯人が利用しそうな
山小屋に目星を付け、単独で動いた保安官が犯人に捕らわれてしまいます。ストーリーは、ミラ
ンダを中心に複数の視点を切り替えながら展開していきますが、サスペンスとしては・・・捜査陣も
地道に動いているし、そういった面は前作よりしっかりしているように見受けられましたが、残忍な
行為にも関わらず、犯人にパンチが欠けたかな〜。支配欲や異常性、残虐性といったものが、
心理面を通してもリアルに迫ってこないんですよね。ただ姉が絡んでくるあたりは捻りを感じて、
興味深く思えたのですが、描出が甘いせいか、最後まで曖昧さが抜けずで活かしきれていない
ような手ごたえでした。全体を通して、ある程度の面白さはあると思いますが、特筆すべき見所
には欠いた内容と言えるかな。そして大して語るようなものが無かったロマンス面ですが、この
作家さんは三角関係がお好きなのでしょうか(笑)ある意味貧乏くじを引いたと言える保安官が、
別のトリロジー作品でヒーローを張っていると知って、何故だか安心したりも(^^;)ネタ自体は
悪くは無いけれど、作品としては物足りないんだよな〜。可も無く不可も〜・・・といった感想です。

三部作の最後は「ザ・キル」。とりあえず年内には読みたいと思っていますが、どうなんだろう(笑)

ザ・ハント (集英社文庫 フ 26-2)ザ・ハント (集英社文庫 フ 26-2)
安藤 由紀子

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  1. 2007/11/22(木) 23:59:55|
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ザ・プレイ

アリスン・ブレナンの新刊。ローズの満点作品の後なのでちょっと迷いましたが、結局着手しました〜。

FBI捜査官から作家へと転身したローワンは成功を納めていたが、ある日ウェイトレスが殺害される事件
が発生し、現場にはローワンの作品が残されていた。犯人の手がかりを掴めないまま、次々に作品を模し
た殺人事件が起こる中、ローワンのボディーガードとしてジョンとマイケルのフリン兄弟が雇われるが・・・。

お初作家と言う事で、様子を見ながら取っ掛かりましたが、サスペンス重視の内容かと思いきや、ロマンス
がしっかりと挿入されていたのはちょっと驚いたと言えるかな。感想としては、中々面白く読めました(^^)
以下ネタばれアリの内容になりますので、未読の方はスルーもしくはバックされる事をお薦め致します。

ヒロインのローワンは、元FBI捜査官で現在は作品が映画化される程の売れっ子作家ですが、重い
過去を抱えている為に他人と打ち解けられず、孤独に暮らしています。まずこのローワンの第一印象が
イマイチ良くなかったというか・・・。元捜査官という事もあり、「自分の身は自分で守ります」というタイプ
なのですが、見るからに強気に片意地を張っているとまではいかないものの、そっけなさや取っ付き難さ
みたいなものがやや気になったんですよね。人を寄せ付けない人間ならではと言えるのかも知れない
けれど、微妙に冷たく思えたりもしました。あと簡単に明かせるようなものでは無いとは言え、自分の過去
と事件の繋がりに気が付いても良さそうだとは思ったりも〜。でも過去を明かして以降は、ローワンが抱く
罪悪感や心の傷等の心情の動きが丹念に描出されると同時に交錯する強さと弱さが色濃く映し出され
ている様には、ローワンというキャラのリアルな温度を感じましたね。背景や感情面からしっかりと形成
されたヒロインで、惹かれるとまではいかなかったけれど、人物像自体はよく描かれていたと思います。

弟のマイケルと一緒に警備会社を経営しているヒーローのジョンは、取り掛かっていた麻薬取引の捜査
を終えた後にマイケルに合流し、ローワンと出会います。明るくて感情に走りやすいマイケルとは対照的
で感情を表に出さないタイプのジョンですが、ローワンと似ている感じで、こちらもキャラとしては可も無く
不可も・・・といった印象かな〜。ローワンにとっては心を開ける唯一の存在とは言え、ボディーガードと
しての能力は・・う〜ん(^^;)あまりよくわからなかったです、正直(笑)護衛的な働きはいま一つな感じ
でしたが、麻薬の売人になって殺害された友人の事やマイケルに対する罪の意識といったジョンの内面
がローワン同様に確かに描き出されているので、そういった部分の読み応えはちゃんと感じましたが。
真っ向から核心に触れようとするジョンのキャラ自体は良いのですが、「好き好き長男」にならないのは、
ローワンを巡るマイケルとのやり取りが招いた結果のせいもあるかな〜とも。よく出来ているキャラには違い
ないけれど、もう少し妙味やパンチみたいなものが欲しかったような・・・。何とも微妙なヒーローだな(^^;)

脇役に関しては、三部作の内残り二作のヒロインとなるミランダとオリヴィアが、名前のみ登場していま
したが、次回作のヒーローとなるクインシーはあくまでも脇役程度の存在感だったので、ヒーローにどう
化けるのかが気になる所かな(笑)惚れっぽくて仕事に私情を挟みやすいマイケルや私的にあまり好か
なかった(苦笑)テスとかも極々普通の印象かな〜。ストーリーにしっくりと納まっている一方で脇で味の
ある存在感や光るものを見せる程では無く・・・。日々地味なりに魅力があるキャラには多く遭遇しますが、
この作品は主役、脇役共にキャラの魅力を特筆するような感じでは無かったです(笑)作品自体を面白く
読んだ事を思うと、珍しいかも(笑)悪く無いんだけれどなあ〜。ツボをつくまではいかずなんですよね。

犯人がローワンの作品を出来る限り正確に模しながら殺人を繰り返す中、ジョンと言い争った後に任務
を外されたマイケルが犯人に襲われて射殺されてしまいます。犯人の正体が掴めないながらも、自分の
過去が一連の事件と関係している事を認めたローワンは、父親が母親を殺害し、兄のボビーが姉二人と
妹を殺害したという過去を振り返り始めますが、意外な事実が明らかになります。事件の全体図や犯人
像は前半部分で大方見えてきますが、FBIの対応は(特に後見人の支局長)かなりお粗末なので、犯人
の動きが緊迫感を維持している感じかな〜。父親が母親を虐待するという家庭によって築かれた犯人の
残虐な心理やローワンに対する異常な執着振りも勢いよく描かれていました。ペース的に特別速くは無い
ものの、割とホットなラブシーンや痛ましいエピソードを盛り込みつつ、着実に展開していく流れにおいて、
傷つき、苦しんで葛藤しながらも、現実に向き合おうとするローワンとジョンの各々の内面の動きに、最も
印象強く読ませるものを感じましたね(私的には)。心情面の手厚い描出を思うと、キャラにもっと魅力や
パンチを感じたかったし、気になる点も幾つかありますが(精神病院の面会人のチェックとか灯台下暗し
な状態等)作品としては、まずまずな面白さかな〜。次回作も期待出来ると良いけれど。楽しみですね。

誉めているんだかいないんだか、イマイチわからないレビューですが(^^;)次回作は今月の20日に刊行
予定の「ザ・ハント」。そして最後が「ザ・キル」。年内に三部作をコンプ出来るとは嬉しい限りです(^^)

ザ・プレイ (集英社文庫 フ 26-1)ザ・プレイ (集英社文庫 フ 26-1)
アリスン・ブレナン 安藤 由紀子

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  1. 2007/10/01(月) 23:27:12|
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満月と血とキスと

パラノーマル作品を最近読んでいないという事で、満を持して(?)以前にお友達が大好きと語って
いたシャーレイン・ハリスをピックして見ました。この作家も地味作家&作品リスト入り決定です(笑)

人の心が読めてしまう為、恋人が出来ずに過ごしてきたスーキーは、町に越してきたヴァンパイア
のビルと知り合い、恋人として付き合い始めた。だがそんな折にヴァンパイアと付き合っていた女性
が殺害される事件が連続して起こり、やがてスーキーの周囲にも不穏な気配が漂い始めて・・・。

既読のパラノーマル作品とはまた一風違う世界観や設定が◎。緩やかな序盤から徐々に惹き込ま
れていく感じ。浮遊感にも似た、不思議な空気感の中に機知や鋭敏さが冴えた上質作品でした(^^)

ヒロインのスーキーは読心能力を持つウエイトレス。人の心が読めてしまう「障害」のせいで恋人
も出来ず、周囲からは変わり者として見られています。そんなスーキーですが、クスッと笑いを誘う
可愛さと勇敢さが魅力的でしたね〜(^^)特殊な能力のせいで、難しさを抱えて生きていますが、
辛抱強く自分の能力に折り合いを付けつつ、基本的に前向き。ビルへの想いや決して単純とは
言えない二人の関係を前にして、思い悩んだりする姿も自然体で素直な印象だし、好感度の高い
ヒロインだなあ〜と。あれこれ悩んだりしながらも、スーキーの中にきっぱりとした強いものが感じ
られたし、スーキーの思考や感情を通して、キャラそのものの輪郭がしっかりと浮き彫りになるのも
良かった。飾り気の無い、素のままといった雰囲気がとってもチャーミングなヒロインでしたね(^^)

ヒーローのビルは南北戦争を経験しているヴァンパイア。ヴァンパイアが法律上認知された為、
自分の血縁が残した家を相続し、人間社会と上手く付き合いながら暮らしていこうとしていますが、
物静かで誠実な印象かな。スーキーの事を「あなた」と呼ぶせいか、古風で丁寧な感じがするけれ
ど、堅苦しくは無いし、でも内では激しさがたぎっているのが感じられたりして、底が見えないと
言えるかも(^^)スーキーが惹かれたという静けさが上手く描写されていたし、物静かで優しい一方
でぞくっとさせるヴァンパイアの顔やスーキーを守ろうとする断固とした意志も印象的で、髪の毛を
梳かすシーンなんかは素敵だった。でも私は変身系にヨワヨワなDNAの持ち主なんだよね(^^;)

主役の二人を囲む脇役達は、南部の小さな田舎町ならではといった感じで、気さくだけれど癖の
ある面々が揃っていましたが、女たらしなスーキーの兄や気が良くてハンサムだけれど、脳みそが
足りない(笑)スーキーの同級生に長老ヴァンパイアのエリック等様々な個性がストーリー上で光る
中、スーキーの読心能力によって、キャラ各々の胸の内が語られる下りは面白いと同時に能力故
の難儀さを描いて読ませるあたりも上手いなあ〜と感じました。あと私的には、やはりサムに尽きた
なあ〜というのが本音(笑)変身系萌えDNA故の反応だけで無く、サムの立ち位置が良いんだ。

影ながらスーキーを守ろうとする姿や4年もずっと好きだったのに、ビルの登場でようやく自分の
気持ちに気が付いた(笑)という鈍さ故の片想いモードがたまらなく激ツボなんですよね〜(爆)
犬の姿でスーキーの家に行ってからの下りは可愛いやら微笑ましいやらだし、自分のスタンスを
ちゃんと守っているのも好印象(^^)ツボ直撃のキャラに遭遇でニンマリが止まらずでした(萌)

ヴァンパイアと付き合いがあった女性が連続して殺害され、被害者達と付き合いがあったスーキー
の兄とビルの存在が容疑者に挙げられますが、スーキーはヴァンパイアが集うバーへ出向いて、
聞き込みをします。そんな中スーキーの身に危険が迫りますが、ストーリーは、0プラスやAマイナ
スといった人工血液等の小道具(?)や背景のユニークさにヴァンパイア社会の実態や危うさが
上手く組み込まれていて、段々と面白みが熟していく感じでした(^^)展開の要所要所でスーキー
の心情の動きが確かに描かれていたし、スーキーと脇役キャラ達が絡む、個々のエピソードも
妙味のあるストーリーの流れにおいて、しっかりと活かされていて、時折光るユーモアの種と共に
読ませましたね〜。エンディングも優しかったなあ(私的にはコリーの登場が最高・爆)。切り口は
さっくりとしているのですが、独特の感性が織り成す異世界感が印象的。充実の一冊でした(^^)

シリーズの情報を掲載しようと作者のHPへ飛んだ所、シリーズはかなり進んでいる模様(笑)
「The Sookie Stackhouse aka Southern Vampire Series」として、短編も含めて12タイトル
が刊行されています。私的にはK・アームストロングとのアンソロジーがとっても気になったり(^^;)
いつか続きが翻訳される事を願いつつ、とりあえず地味愛リスト作成に励みたいと思います(笑)

満月と血とキスと (集英社文庫)満月と血とキスと (集英社文庫)
Charlaine Harris 林 啓恵

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  1. 2007/05/31(木) 23:59:08|
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愛さずにはいられない

SEPやJ・クルージーお薦めの作品。最近文庫に関しては乱読状態ですね(笑)

ウィジーは夫と離婚後、骨董品を見つけてはディーラーに卸す「ピッカー」の仕事を
しながら日々の生計を立てていた。ある日サヴァナ一の大農園主の末裔が亡くなった為、
残された遺品が売り出される事になり、売り立ての日の前夜、ウィジーは友人のべべ
と一緒に屋敷の前で徹夜待ちをするが、トイレを借りようとこっそりと屋敷内に忍び
込んだ所、元夫の婚約者の死体を発見してしまった事から殺人容疑をかけられて・・・。

ヒロインの一人称スタイルでストーリーは進んでいきますが、仕事や友人、家族、別れた夫
の事などヒロインの背景が細部に渡って丁寧に描かれているけれど、決して描かれ過ぎ
では無いので、取り掛かりやすい上にとても読みやすかったです。浮気夫との離婚裁判で
唯一勝ち取った元自宅の馬車置き場を改造した家に住み、敷地内の本宅では浮気夫と
その婚約者が住んでいるというとんでも無い状況の中で暮らすというヒロインに初めは
驚きつつも、あくまでも前向きに生きていこうと頑張る姿はなかなか好感が持てました。

結婚している際に夫の許可無く家を買う事を決めてしまったり、生きがいとも
言える骨董品に関する事になるとちょっと一人よがりな面が見えがちになりましたが、
それもまた凄く人間的な感じがして、結局悪い印象として残る事は無かったです。
ただ再会した昔のボーイフレンドに対する態度とかにちょっと頷けない場面が何度か
あったんですよね〜。でも上巻ではヒロインが骨董を追いかけるシーンが多かったので、
心理面の描写がほとんど読めなかったせいだなあって事で解決。ストーリー全体が
動き出す下巻になって、ヒロインのキャラも徐々に光ってくるし、内容的にも
グッと締まりながら、面白さが増して難なく一気読みしちゃいました。

この本を読んでいて感じたのが、作品の良し悪しは関係無く、骨董品に関して造詣が
深ければまた別の角度から楽しめただろうし、欧米の生活様式や古くから伝わる習慣や
風習に馴染んでいればなお良いだろうなあ〜と。それでも骨董品に関する専門的な
部分が堅苦しいウンチクとして描かれなかったので、想像力を働かせながら読んでも
疲れる事が無くて良かったです。アンティークの家具から人々の日常生活の中で使われた
ありきたりの物品までヒロインの興味を引く骨董品の雑多さがとても魅力的に描かれて
いたので、もっと詳しい立場だったらなあ・・・と惜しい気持ちになりました。

殺人容疑をかけられたヒロインが自分で犯人探しをしないところが通常のミステリー
と違っていて興味深かったのですが、元夫の婚約者殺害の件はヒロインの叔父の弁護士
とその恋人の地区検事補が追う流れで描かれていました。犯人探しは全然込み入って
いないので、あっさりと片付きます。自分が同性愛者である事に最近気がついたと
いうヒロイン叔父の存在がとっても素敵で、銃口を向けられた状況でも、言葉巧みに
犯人に薬入りのワインを飲ませて、眠らせてしまったりと機転の利いた行動が
スマートで素晴らしかったし、味のあるキャラクターは魅力的たっぷりでした^−^

ロマンス的には淡い描かれ方で、再会した昔のボーイフレンドで元海兵隊員のシェフ
でもあるヒーローは初めこそ印象は屈託が無い感じでしたが、家族にまつわる話になると
途端に機嫌が悪くなったりと、ヒーローが率直にヒロインに気持ちをアピールしてって
いう始まりからようやく軌道に乗るかな〜って所で、結局ヒーローの家族関係の事で
喧嘩して一旦離れたり。最後のハッピーエンドもあっさりとした印象なので、ロマンス面を
期待しちゃうと物足りなく感じるだろうなあ〜と思います。料理の出来る男がツボな
私もヒーローには期待したのですが、思ったほど存在感が無くてちょっと残念だったかも。
ロマンス面よりもアルコール依存症のヒロイン母と黙って耐えるヒロイン父との親子
関係の方がより印象的でした。治療後に元気になったヒロイン母の言動は見物だったし(笑)
あとヒロインの親友も素敵でしたね〜。とっても個性的で目立っていました^−^

ヒロインに復縁を迫り出した元夫や歴史的建物を壊して製紙工場の建設を目論む面々に
プラスしてアンティークの贋作を本物と偽って販売しているディーラーまで様々な
事柄が上手く手堅くまとめて描かれていて、全てが解決した時には、ヒロインの
抜け目の無さに笑いを誘われつつ、すっきりとした爽快感を味わえます。意外性は
ありませんが、ストーリーの面白さは言うまでも無く、作中で提示された要素の
一つ一つが最後まできちんと描き切られているのもお見事でした。

ピリっとしたユーモアに豊かな感性が融合した、一風変わった面白さが楽しめる温かな
作品です。ロマンスやサスペンスからちょっと方向転換したい時に読んでみるのも良いかも。
ヒロインの親友のスピンがあるそうなので、いつか邦訳される事を期待しています^−^

愛さずにはいられない〈上〉愛さずにはいられない〈上〉
メアリー・ケイ アンドルーズ Mary Kay Andrews 安藤 由紀子

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愛さずにはいられない〈下〉愛さずにはいられない〈下〉
メアリー・ケイ アンドルーズ Mary Kay Andrews 安藤 由紀子

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  1. 2006/07/20(木) 19:26:01|
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愛はゆるやかに熱く

新刊ラッシュ・レビュー第二弾はS・ブラウン。ずっと読みたかった作品です^−^

南部で伐採会社を営む義父が倒れた為にスカイラーは婚約者が義妹と結婚して以来、
六年ぶりに故郷へ戻ったが、会社の経営状況は火の車で、父親は代々受け継がれてきた
屋敷の「ベル・テール」を担保に銀行から莫大な融資を受けていた。一念発起したスカイラー
は会社を再開し、優秀な森林労働者で何かと噂のあるキャッシュを雇い入れるが・・・。

中盤あたりまではサスペンスというよりは愛憎が入り混じった人間ドラマのような感じ。
パワフルでテンポの良いストーリーに惹き付けられて、すっかりと読み入ってしまったなあ〜。
T・ホウグの「心ふるえる夜に」に似た面が少しあるかなと思います。一昔前のS・ブラウン
作品に見られる濃密な雰囲気が、ストーリー全体をしっかりと色付けていました。

「ベル・テール」を巡る登場人物の強欲振りが浅ましく描かれていましたが、その一方で
南部の田舎町に根深く残る人種差別や階級差の方により感じる面がありました。

私生児で「白人のクズ」と呼ばれて育ってきたキャッシュや「「ベル・テール」の
元家政婦の娘で、黒人であるが故に良い職に就けず、病気の母親の為に売春婦に
ならざるを得なかったゲイラとゲイラの恋人で彼女に裏切られたと思い込んでいる、
服役中のジミー・ドンのそれぞれが背負っているものが哀しかったし、彼らの現実が
あまりに過酷で本当に辛かったです(><)状況がイタイ分、ゲイラとジミー・ドンの
ロマンスに凄く期待していたのですが、思っていたほど描かれないまま、最後には
あっさりとハッピーエンドになりましたが、二人が辛い思いをした分、余計な波乱は
無しで良かったんだろうなあ〜。ゲイラを囲っていた極悪人の最期にはすっきりでしたが。

ヒロインのスカイラーは、真面目で意志が強く、義父に背かれた事に傷つきながらも、
愛する家を守ろうと必死で頑張る姿が好印象でした。ゲイラを助けてかくまう優しさと
勇敢さもナイスだし、困難に立ち向かっていくガッツが何よりも良かったです^−^

キャッシュについては、S・ブラウンの描くヒーローの中でも(私が読んだ作品に限りますが)
相当荒っぽい部類に入ると思いますが、キャッシュの視点からの描写が少ないせいか、
中盤を過ぎてもあまり感情移入は出来なかったんですね。銀行家の妻との不倫に
関しては絶対に頷けないし、スカイラーに対する態度も良い時もあれば、そうでは無い
時もあって。決して好きなタイプのヒーローでは無いけれど、でもキャッシュの
そういう言動や生き方がとても虚しく映って、共感とまではいかなくても、心の琴線に
触れるような何かを感じさせる部分がありました。ラストに明らかになったコットンとの
関係の真実は何となくわかってはいたけれど、キャッシュが最後に自分を息子と認めて
ほしいと願った事や初めて見た時からずっと「ベル・テール」に魅せられ続けていた
事が哀しくて切なくて(><)母親は愛人として一生を送り、息子よりも「ベル・テール」
を選んだ父親の事を思えば、キャッシュの内面の複雑さや愛を否定して、物事に対して
嘲笑的な態度でいるのが理解出来たし、だからこそやるせなさが募るキャラでした。

私的にキャッシュはちょっと粗野過ぎるのですが(笑)最後にスカイラーに想いを
告白するシーンは優しさと同時にちょっぴり切なさも感じさせて、思いがけず
ホロっときました。幸福感がほのかに漂う、素敵なやり取りでした^−^

終盤に盛り上がってくるサスペンスは犯人がほとんど見えているので、驚きはありません
でしたが、「ベル・テール」という美しい屋敷を中心に巡りながら、スカイラーと
キャッシュの熱く渇いたロマンスを始めとして、家族間の複雑な愛憎と人間の醜悪さが
力強く深く描き出された、読み応えたっぷりのドラマティックな作品でした^−^

さてさて・・・来年は「Another Dawn」を翻訳してくれる事を期待します(笑)


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  1. 2006/06/30(金) 23:30:13|
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