Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

異形の求愛者

ローレル・K・ハミルトンの新刊。「アニタ・ブレイク・シリーズ」ですね。楽しみにしていた一冊でございます。

ヴァンパイア・ハンターのアニタは、ある夜シェイプシフターによって惨殺された遺体を見に山中へ行った。
何やら不穏なものを感じる中、友人から獣つき達が続けて行方不明になっている事件の捜査を依頼され
るが、更にアニタが人狼のリチャードと付き合い始めた事を知り、嫉妬するジャン=クロードが現れて・・・。

お久し振りのアニタ・ブレイクですが、今作も充実していましたね〜。アニタを筆頭にお馴染みとなったキャラ
達は健在だし、周到に練られたストーリー展開もまさに期待通り。がっつりと惹き込まれる面白さでした(^^)

さて。まずヒロインのアニタから。親近感を覚えるような普通っぽさの内に併せ持つ強靭な意志や深い思慮、
あって然るべき恐怖心、更に満身創痍な状態は相変わらずでした(笑)それでも持ち前の才知と俊敏な
フットワークでピンチを乗り切っていく逞しさや情に厚い一面が冴えつつ、ジャン=クロード&リチャードとの
三角関係において、アニタのまた別の側面が窺えた事が印象的だったかな〜。リチャードへの愛情に反して
獣性を受け入れがたい気持ちや物事における見方や考え方の違いが徐々に表面化していきながら、葛藤
を重ねる心の動きを通して、アニタの内面の複雑な部分が映し出されているあたりに興味深いものを感じ
ると同時に個性や思考等全てひっくるめたアニタそのものを等身大の大きさで読ませるんですよね。二人と
の関係性、アニタ自身の向き合い方や気持ちの変化がどうなっていくのか、今後も要注目と言えるかな(^^)

続いてはジャン=クロードですが、当たりこそ柔らかで退廃的な物腰の内にたぎる鋭さや不穏さ、そして登
場するだけで場の空気を変えてしまう貫禄たっぷりの存在感はさすがとしか言いようが無いし、嫉妬メラメラ
な姿も様になりましたね〜(笑)アニタとの間に通う不可思議な吸引力が顕著に感じられる中、ジャン=
クロードの「求愛」がどんなものになるのか気になる所だったりも(^^)そしてリチャードはわんこみたいな一途
さが可愛い一方で気高い理想を抱える心優しい平和主義者な本質故にアニタと相容れないズレや難しさ
が、切なさやもどかしさを出しつつ絶妙な按配で描かれていましたね。獣つきでありながらも、人間と獣性
のちょうど狭間にいるように思える在り方にも奥深さがあるし、またリチャードの実直なキャラが、カリスマ性
を誇るジャン=クロードと対極的なのも◎。私的に人狼でマメなリチャードはポイントが高いんですよね(笑)

アニタは獣つきが連続して行方不明になっている事件を追い始めますが、ジャン=クロードに恋するヴァンパ
イアに襲われそうになり、更に獣つきが作ったポルノと殺人のフィルムの件を持ち込んだエドワードに協力を
求められたりする中、ある晩川で皮を剥がされたナーガを救出した事を機に事件の核心へ迫っていきます。

ストーリーはアニタを取り巻く三角関係に冒頭で起こった殺人事件、獣つきの連続行方不明の一件等の
事件面を絡めながら展開していきますが、とにかく重量感たっぷりでしたね〜。ロマンス面はアニタとリチャー
ドの一筋縄ではいかない状況が、ジャン=クロードの割り込み(爆)を含めてしっかりと描き込まれていたし、
二転三転する事件面のプロットも巧妙。エドワードを筆頭に多様な個性を持つ脇役達の配置も上手くて、
独特の世界観をベースに丹念かつ細やかに作り上げられているだけで無く、作品全体を通して一体感が
強くて無駄が一切無いのがお見事でした。人間やヴァンパイア、獣つきが共存する世界の暗さや血生臭い
官能性が混在した、このシリーズならではの空気感を存分に味わえたのも○。申し分の無い優秀作品です。

とりあえず次回の翻訳は「メリー・ジェントリー・シリーズ」になるとの事ですが、正直嬉しい気持ちの反面
がっかりも結構大きかったり(笑)今までの翻訳のペースを考えると、随分とお預けにされそうですね(苦笑)

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  1. 2008/06/16(月) 23:59:59|
  2. アニタ・ブレイク・シリーズ|
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亡者のサーカス

villageの新刊二冊目はアニタ・ブレイク・シリーズ。続きを楽しみにしていましたが、今回翻訳され
たのはシリーズの三作目という事で、読むのに支障は無いにしろ何でだろうって疑問もあったり〜。

ヴァンパイアによる殺人事件が発生し、遺体には複数のヴァンパイアに咬まれた跡があった事
から、アニタはマスター・ヴァンパイアのジャン=クロードの元へ情報収集へ行くが、やがて
ヴァンパイア達によるシティの支配権を巡る抗争が勃発し、アニタの身にも危険が迫るが・・・。

前作も勿論面白かったけれど、シリーズの一作目としての面白さだったかな〜と今にしてちらっと
思ったりもしますが、今回の「亡者の〜」は、内容面の充実振りだけで無く、シリーズとして円熟して
いく面白みを感じさせたし、新キャラの登場もアリ等トータルで水準の高い大満足の一冊でした。

ヴァンパイアによる殺人事件が発生し、現場に行ったアニタは遺体に複数のヴァンパイアによる
痕跡が残っていた事から、闇世界の情報を得るべく、シティの統括者となったジャン=クロードの
元へ行きますが、ジャン=クロードに二つの「しるし」を付けられてしまったアニタはジャン=クロード
に対して惹かれる以上に複雑な感情を抱いていて、そんな中ジャン=クロードの知人でもある、
人狼のリチャードに出会います。前作のレビューでもアニタの魅力について触れましたが、今回も
その魅力は健在で、恐怖心に対する自然な反応や自分の信条に忠実な一面が気持ち良く描かれ
ていました(^^)ぬいぐるみのペンギンを集める趣味も微笑ましいし、タフで勇敢な一方で適度に
付け入れるスキがあるのが良いなあ〜と。かっこいいけれど、可愛くもあり、そして普通っぽい。
シリーズもののヒロインというと難しいタイプが多いけれど、アニタのキャラは本当に魅力的ですね。

アニタに残る二つの「しるし」を付けて、永遠に自分のものにしたいジャン=クロードですが、前作
時に比べると、キャラが明確に映るというか、真価が表面に出てきた感じで、アニタとリチャードが
意気投合したのを見て嫉妬する姿には思わずニンマリだったし、退廃感をまとった柔らかな物腰の
裏に潜む野蛮な面が垣間見れたりとグッと存在感が増していて、ジャン=クロードの危うい魔性に
私もしっかりと魅了されました(^^)そして予防注射から感染した人狼のリチャードですが、
獣臭を全く感じさせない極々人間的なキャラのせいか(笑)、どことなくアニタとタイプが似ている
ようにも思えました。ジャン=クロードからアニタ接近禁止令(笑)を出されていましたが、今後
の二人の関係にジャン=クロードが絡んで来て、ロマンス的にどんな流れになっていくのか。私的
には嫉妬するジャン=クロードがツボですね〜(笑)さてさてどうなるのかな〜。興味津々です(^^)

殺人事件を調査するアニタの元へ「ヒューマン・ファースト」という反ヴァンパイア組織が、シティを
支配するマスター・ヴァンパイアの正体を教えて貰おうと接触してきますが、口をつぐむアニタが
新人蘇生師のラリーと共にヴァンパイアの群れに襲われたりと危険が迫る中、ラリーとの師弟
関係(?)やハンター仲間のエドワードとの一風変わった友情などにアニタの心情を巧みに絡め
ながら、一転二転するストーリーは早いピッチを保ったまま、切れ味鋭い面白さで終盤へ流れて
いきますが、さくさくと軽快な語り口から闘いの血生臭さやどろっとした耽美の香り、そして人間
とヴァンパイアや獣憑きが共存する混沌とした世界が見事に作り上げられているのが素晴らしく、
パンチのきいた独特の世界観にはただ魅せられましたね〜。L・K・ハミルトンならではの香りや
色彩が読後にも濃く残る中、独創的な面白さと世界観を余す所無く堪能した一冊でした(^^)

次回の邦訳は「Lunatic Cafe」でシリーズの四作目。人狼メインという事で期待大だわ〜( ̄m ̄*)

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  1. 2007/01/30(火) 21:02:52|
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十字の刻印を持つふたり

パラノーマルものなので中々手が出ずにいた作品。シリーズものをとことん溜め込んで
しまう習性を何とかしようと(笑)思い切って読んでみましたが、サクサクいけちゃいました。

死者の蘇生師として活躍する一方で凄腕のヴァンパイア・ハンターとして恐れられている
アニタは、連続しているヴァンパイア殺人の捜査を依頼され一度は断るが、親友の独身
お別れパーティーに出かけた際にヴァンパイアに捕らわれてしまった。アニタ自身も
襲われ、結果親友の安全と引き換えにやむを得ず捜査を引き受ける事になるが・・・。

ヒロインの一人称スタイルで描かれたストーリーはタイトなペースで進んでいきますが、
窮屈な感じは全くしないし、ページを追う手が止まらないくらいとても滑らかです。
人間だけで無くヴァンパイアやゾンビが共存する異世界なのに、日常の些細な事は
ノーマルに描かれていたりのアンバランスさが自然なのも興味深い一面でした。結構
グロテスクな描写が入ったりして、そのあたりが凄くリアルに想像力を刺激してゾクっと
来たりしましたが、この作品の特筆ポイントは、やっぱりヒロインのアニタの存在ですね〜。

男顔負けで活躍する一方で、アニタが恐怖をありのままに認め、受け入れる率直さと
それでも負けじと悪に立ち向かう勇敢さがとても魅力的で好感を抱きました。へんに
片意地を張ったりもしないし、常に相手や周囲に気にかける優しさも良かったです。
アニタとフィリップのやり取りは思いがけずホロっと来ました(><)お話の中で最も
印象に残ったシーンだし、同時にアニタのキャラがよくわかるエピソードでもありました。

ヒーローのジャン=クロードは今回はそれほど登場しませんでしたが、美男子でも
青白いヴァンパイアという事から、「Tall,Dark and Dangerous」好きな私の萌えを
刺激するヒーローではありませんが(笑)物柔らかなデカダンと耽美の香りを漂わせる
存在感のあるキャラなので、今後のアニタとの関係の進展に注目ですね^−^

全体的にサクサクとしているんだけれど、事件性とキャラの感情面のどちらもちゃんと
行き渡って描かれている、とても読み応えのある面白い作品です。パラノーマルが苦手
な人でも難なく読めちゃうんじゃないかな〜と思います。続きに期待ですね♪

十字の刻印を持つふたり―アニタ・ブレイク・シリーズ〈1〉十字の刻印を持つふたり―アニタ・ブレイク・シリーズ〈1〉
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  1. 2006/08/05(土) 22:10:45|
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  4. コメント:2

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