Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

美しすぎて

「舞踏会の〜」が大当たりだったJ・アイボリーの新刊。巷では賛否両論みたいですが・・・(笑)

アフリカ遠征で名声を博し、輝かしい将来を約束されたジェームズは、歯科医の待合室で
年上の未亡人のココと出会った。ジェームズはココに惹かれてアプローチをするが、高級
娼婦だった過去を持つココはジェームズの立場を思い、友人の関係を保とうとして・・・・。

「舞踏会のレッスンへ」で描かれたような、屈託の無い面白さを期待すると外すかなあ〜といった
感じだし、前作に比べると、ウィットやユーモアの冴えも劣りますが、ストーリーそのものはよく
出来ていると思います。どことなく掴めないような、独特とも言える不思議な趣がある作品でした。

ヒロインのココは15歳の時に勤めていた屋敷の主人の子供を妊娠して以後2年間愛人として別宅
で囲われた後に英国を去り、高級娼婦として身を立てますが、結婚した英国軍人と死別した現在
は童話の挿絵を手がけながら、富裕な未亡人として暮らしています。ココが高級娼婦だった過去
がネックになっているような評判も目にしますが、子供を抱えたシングルマザーが、女性にとって
は規制の多い、難しい時代で生き延びる為に選んだ選択の一つという事で、私的には気になら
なかったですね。男性と関係を持ちながらも、心は固く閉ざしたまま生きてきたココの中にある翳
や素直で開けっぴろげなジェームズの求愛に対して覚える複雑な女心が細やかに描かれていま
したが、ココの輪郭の柔らかさや上品な色香をさらっと漂わせるあたりにアイボリーの上手さを
感じつつも、ヒロインとしての存在感となると微妙に薄いなあ〜と。キャラが弾けないというか。
ジェームズの個性に圧されてしまった感もありますが、魅力はあるだけに残念だったなあ〜(^^;)

伸び伸びとしたキャラが純然と光っていたジェームズですが、アフリカから帰国して以来英国
社会において確かな地位を約束されている一方で、アフリカでの経験が人生観に大きな変化を
もたらした事から、周囲に対して違和感を感じています。そんな中知り合ったココに惹かれ、
彼女こそ自分を理解してくれる相手だと思い、アプローチを開始しますが、歯科医の待合室で
出会うシーンを始めとしたココとジェームズのやり取り全般において、ジェームズの無心さと
いうか、真っ直ぐな想いがより前面に強く押し出ている感じで、雨宿りのシーンやココが身体を
洗うシーン等情感が香る素敵な場面もあるんだけれど、二人の間に通うケミストリーとなると、
ジェームズのココに対する想いが強いが故にバランス感を欠いてしまうように思える事もしばしば
ありました。それはココのキャラ立ちが私の中ではイマイチだった事も影響していると思いますが。
でもジェームズのココに対する、崇拝とも言える強い愛情は素晴らしかったし、「舞踏会の〜」
のミックと同様にありのままの魅力が光るジェームズのキャラはチャーミングで○でした(^^)

結ばれたココとジェームズが家を共に借りて関係を持続させようする一方でココの息子の父親で
ジェームズの恩師でもあるフィリップが、ジェームズの成功を妬み、失脚させようと画策しますが、
ストーリーの流れが詰まるような感じがあって、丁寧に描かれてはいるけれど、切れや惹き込む力
の鈍さが所々見られたし、決して悪いわけでは無いのに、楽しみ切れないというか、どこか持て
余してしまうような感覚が最後まで残ってしまったんですよね。独特の雰囲気とゆるめのペースに
乗り切れなかったせいかな〜。もう一つ二つパンチが欲しかった。前作のような魔法が感じら
れずでした。でも良い面や印象に残るシーンもちゃんとあるし、全体的に言うとまずまずですね。

今後もアイボリー作品が刊行されると良いなあ〜。特に「Beast」は是非読みたい一冊です(^^)

美しすぎて美しすぎて
ジュディス・アイボリー 岡本 千晶

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  1. 2007/01/21(日) 22:48:26|
  2. ジュディス・アイボリー|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

舞踏会のレッスンへ

楽しみにしていた初J・アイボリー作品。期待通りの面白さで一気読みでした♪

元侯爵令嬢のエドウィーナは、父親の死後言語学者として生計を立てていたが、ある日
仕立て屋に寄った帰りにねずみ捕りを生業とするミックと出会い、田舎の訛り丸出しの
彼の言葉遣いに興味を覚えた。そんな時双子の紳士が現れ、六週間の間に、上流社会で
通用する為の教養や話し方、マナーをミックに教え込み、紳士に仕立て上げれられるか、
という話を持ちかられる。承諾した二人はエドウィーナの家でレッスンを開始するが・・・。

今まで読んだリージェンシー作品の中で確実にBEST3に入る面白さです!ひねりが効いて、
機知に富んだストーリーが伸びやかな切り口で展開していきますが、生き生きと輝く
キャラの魅力は勿論の事、感情表現に至っては細やかであると同時に巧みさも感じさせるし、
交わされる会話の面白さ他、印象に残るエピソードが尽きない秀作でした^−^

ヒロインのウィニーとヒーローのミックの「出会い」のシーンですが、まずガツンと一発
貰って(笑)その後の「髭と足」のやり取りや二人の間に張り詰める性的高ぶりを思うと、
作者のセンスの冴えに益々感心が深まりました^−^ウィニーがミックに足を見せる
シーンも、ウィニーとミックのそれぞれの胸の内を巧みに絡めながら、その場に漂う緊張
や高揚が絶妙に描き出されていて、実際の行為よりずっとセクシャルに響いて来るあたり
がとにかく上手かったなあ。お互いが相手への要求を通そうとして、しっかりと会話が
入るのに、官能的な雰囲気が流されてしまわないんですよね。深く感じ入ったシーンでした。

父親を亡くして、その従弟に財産を奪われて以来言語学者として自活してきたウィニーは、
お堅くて真面目なタイプのヒロインですが、両親に関心を持たれずに育ち、背が高くて
そばかすの多い自分の外見に自信が無いウィニーが、ミックと知り合った事によって、
徐々に感情的に自由になっていく姿がとても気持ち良く描かれていましたが、下町の
パブのテーブルの上で踊るシーンは、ウィニーが感じている解放感がダンスの躍動感と
共に伝わって来て、まさに爽快そのもの。その後ミックのベッドにやって来たときの
「ムスコ」ネタにも大笑いだし(笑)ミックのチャーミングさに目がいきがちでしたが、
ダンスシーン以降のウィニーは一皮剥けた魅力が輝いて、とっても素敵でした♪

そしてミックですが、風呂嫌いで(笑)口髭アリ(私は口髭ヒーローに萌えない・爆)
なのに、即惚れちゃいましたね〜(*^^*) 頭が良くて、勘は鋭いし、勿論マッチョだし。
でも一番ツボなのは、茶目っ気があって、自分の感情に素直なところですね〜。私には
何故か「デーリン」がツボだったのですが(笑)ウィニーの足を見て顔を赤らめたり、
ウィニーにネズミ捕りを見せて、何とか関心を引こうとしたりと挙げ出したらキリが無い
けれど^−^;とにかくウィニーが好きで好きで仕方が無いミックが、私には可愛くて
仕方が無かったです(笑)自分とウィニーの社会的落差を気にしたり、紳士として教養
を身に着けていく内に、葛藤しながらも、新しい自分を発見すると同時に生まれた安堵
や将来への可能性に対する喜びなど、ミックの感情の率直な動きがストーリーの流れと
共に丁寧に表現されていましたが、ミックというキャラの奥深い面まで見えて良かったし、
二人が惹かれ合って、相手を理解する事によって生まれた変化の軽妙な描かれ方も◎。
本質的には変わらないんだけれど、でも二人のキャラが磨かれながら、一層に明るく
輝いていく過程がとても清々しく映し出されていたし、ミックのフレディに対する愛情も
ほんわかと優しくて、とっても素敵なエピソードでしたね〜^−^激ツボです。

ミックの変身話を持ちかけた双子の紳士から貰ったお金が偽札である事に気がついた
ミックが警戒しつつ、約束の期限日に開かれる舞踏会の直前に、双子の紳士の企みが
露呈しますが、その後実はミックがウィニーと親戚関係にある、幼児の時に誘拐された
侯爵の孫である事が判明するという御伽話的なオチもご都合主義では無い、ごく自然な
流れだと思えたし、何よりも良かったのが、侯爵の孫である事がわかる前に、ミックが
ウィニーにプロポーズして、それをウィニーが受け入れた事だなあ。自分の社会的立場
を気にしつつも、ウィニーに結婚を申し込んだミックの内にある意志と愛情の揺ぎ無さに
感動しました^−^付いていこうっていう気持ちにさせるものが、ミックの中にはある
んですよね〜。承諾されて大喜びするミックを見て、私も一緒に大喜びな気分でした(爆)

活気溢れるキャラの魅力と朗らかなユーモアに素晴らしく色づけされた、しっかりと
パンチのある、秀逸な作品です。力強くて温かいんですよね。是非読んで頂きたいなあ〜。
↑でBEST3って書いたけれど、実際はBEST1かな〜って思っています(笑)楽しくて
面白くて、二人の前戯にドキドキした後に、しっかりと優しい感動も貰って。感情的に
思い切り移入して堪能した最高のストーリーでした。凄く満たされた幸せな読後です♪

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  1. 2006/08/13(日) 12:42:08|
  2. ジュディス・アイボリー|
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