Sweet 'n Lowdown Style-Zakki

海外のロマンス小説をメインとした感想雑記です。

塔に囚われた花嫁

シャノン・ドレイクの4月刊。新刊買いはパスしましたが、手放す前に備忘録程度にレビューしておきます。

留守中に妻子を殺害されたアリンは、スコットランド人を虐殺したダロー卿とその婚約者で女領主のレディ
・カイラの城に攻め入った。兵士達が次々に降伏する中、アリンは自分に歯向かってきたカイラを捕まえ、
塔の部屋に閉じ込めてベッドを共にする事で復讐しようとするが、カイラは隙をついて逃げ出そうとして・・・。

いや、まあ大して書く事も無いのですが、一応(苦笑)背景的な事はさておき、大まかに言えば、前作と
似たり寄ったりな部分が多かったと言うか。ロマンスにしても、両者が激しい感情をぶつけ合うばかりのやり
取りは、読んでいて疲労を覚えるし、理解とか歩み寄り、信頼が通い合わない上にヒロイン、ヒーロー揃
って内面に深みに欠くので、精神的機微と言ったものがまるで見えてこないんですよね。ストーリー自体は
当時の歴史的背景を盛り込みつつ・・・ですが、キャラに感情移入出来ない事も手伝ってか、不思議な
くらい面白く無い(爆)どこを取って見ても美点が見当たらない、退屈な作品でした(^^;)続きが翻訳され
たとしても、もう読まないな〜。あっ、こき下ろしましたが、この作品をお好きな方にはゴメンなさい(平伏)

塔に囚われた花嫁 (ランダムハウス講談社 ト 1-2)塔に囚われた花嫁 (ランダムハウス講談社 ト 1-2)
園部 亜希

ランダムハウス講談社 2008-04-10
売り上げランキング : 67817

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  1. 2008/06/12(木) 23:30:59|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

この想いはただ苦しくて

スーザン・ブロックマンの新刊。「Bantam Loveswept」から1997年に刊行された作品ですね(^^)

ケイラは、かつてのボーイフレンド、リアムの兄のキャルに、南米で死んだとされている弟が生きているかも
しれないという事を伝える為にモンタナを訪れていた。そんな中突然の嵐に襲われた所を運良くキャルに
救出されたケイラは事情を話してキャルに協力を求め、二人はリアムを助け出すべく行動を起こすが・・・。

「きみに捧げるラブレター」が私的にはほにゃららな事もあり(苦笑)、半ば警戒しながら読み始めましたが、
ブロックマンの作品にしては地味な感じだけれど、さくさくと取っ付きやすい内容だったのは何よりでしたね。

ヒロインのケイラは過去にデートレイプの被害に遭い、現在は女性救援センターで働いていますが、二年
前に南米で死亡したとされているボーイフレンドのリアムが生存しているという話を聞いた為、リアムの兄
のキャルの元を訪ねます。このケイラですが、行動力もあってはっきりと物を言うし、自分の気持ちに率直
だったりと終始しっかりとした印象ではあったかな〜。ただその割りに存在感が薄いと言うか(笑)↑でピック
した良い面が、特筆すべき魅力として映るまではいかず、何となくパンチに欠くんですよね。過去の事に関
しても心情的に訴えてくるものが無くて物足りなさは否めずだし、そのあたりはページ数のせいとかもあるの
かな?基本的に気持ちの良いキャラなだけに、キャラ立ちにもっと強さがあれば良かったかもです(^^;)

ヒーローのキャルは牧場主。ケイラの話を信じてリアムの救出に向かう中、ケイラに惹かれていきます。この
作品の特筆ポイントはキャルかな〜と(笑)弟を育てる為に自分を犠牲にしてきた長男坊というだけでも、
長男スキーにはとっては十分な萌え要素ですが、大地に根を下ろして暮らす、実直で飾らない様やひた
すら弟思いな面が素直な感情表現と共に描かれていて、人間味を感じさせる魅力がありましたね(^^)
あと地に足が着いていると言うか、牧場経営が順調で裕福だけれど、お金の臭い(笑)をさせないのもまた
ブロックマンのヒーローらしくて良い感じだったり。ヒーローを描かせたら、ブロックマンは間違い無しだな〜。

サンサルスチアノに入国したケイラとキャルはリアムに関する情報や噂を集めますが、政府の職員によって
リアムの死亡証明書を見せられた二人が関係を持った矢先に反政府軍のメンバーが現れ、リアムの生存
を告げ、出国を手助けしてくれる事になります。ストーリーは流れがスムーズで、話の早さも読みやすさを
助けているように思えるかな〜。二人のロマンス面もそこそこ読ませるし、まとまりも良かったですね。ただ
最後の救出の下りのあっさりとしたオチや兄弟のやり取りがスルーされた事を思うと、やっぱり長編で扱う
べきネタかもな〜とは思いました。設定の重さがストーリー上で感じられないので(このカテゴリーだとそこ
までは求められないかな?)、心に残るのもそれなり程度なのが残念なような。感想としてはまずまずです。

スピンの「Freedom's Price」も翻訳されるみたいですね〜。そんなに待たずに読めるのかな?(^^)

この想いはただ苦しくて (ランダムハウス講談社 フ 6-2)この想いはただ苦しくて (ランダムハウス講談社 フ 6-2)
スーザン ブロックマン 上中 京

ランダムハウス講談社 2008-04-10
売り上げランキング : 34378

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  1. 2008/05/03(土) 23:59:02|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

「獅子の女神」&「砂漠に眠る秘宝」

シャノン・ドレイクの2月刊とボニー・ヴァナックの3月刊。わざわざ一冊ずつピックして書く程の事も無い
ので(笑)、備忘録程度に軽くまとめてレビューしたいと思います。あらすじはスルーさせて頂きますね。

「獅子の女神」 シャノン・ドレイク

最近はヘザー・グレアム作品は読まなくなってしまったものの、別名義という事で試してみた今作ですが、
まずヒロインの子供っぽい強情さが手に負えずで、読んでいて疲弊しました(^^;)背景や設定に関して
は、昨今多く刊行されているリージェンシー物との違いもあって目新しさや興味を覚えたけれど、如何せん
キャラに(ヒロインを筆頭に)魅力が無さすぎだし、ストーリーも動きがある割には切れや面白みに欠くと
言うか(^^;)最後まで何とか読みましたが、凡作であるのは否めずだな〜。とりあえず今月発売になった
シリーズの二作目はオチ待ち決定。別名義でもやっぱりヘザー・グレアムだわ〜と妙に納得したりも(苦笑)

「砂漠に眠る秘宝」 ボニー・ヴァナック

考古学好きでフェミニスト&古代の王妃の生まれ変わりというヒロインと族長なのにカリスマ性は一切無し
のトホホ系(爆)のヒーローをヒロインの叔父やヒーローと敵対する部族やらが囲んで黄金の円盤アルマを
巡る陰謀が展開していくというお話でしたが、エジプトらしい雰囲気は割りとよく出ていたような〜。ストーリー
自体は特筆したい要素や面白さも無く・・・つまらないというわけでは無いけれど。あとヒーローがヒロインに
食われ気味なのは笑えましたね(笑)元々シーク物に萌えないせいか(?)、さくさくと頭を空っぽにして読め
た一方で特に何も残らずでした(^^;)可も無く不可も無し・・・といった所です。スピンはどうしようかな(笑)

どうも私的にランダムさんのヒストリカル作品はイマイチなんですよね〜(苦笑)他社と違ってリージェンシー
以外のジャンルを刊行してくれるのはありがたいと思うのですが。ヒストリカル作品はとりあえずいいので
(何て言い草・爆)、いい加減SDFの続きを出して頂きたいな〜。しつこく待っていますので、何卒( ̄∧ ̄)

獅子の女神 (ランダムハウス講談社 ト 1-1)獅子の女神 (ランダムハウス講談社 ト 1-1)
河村恵

ランダムハウス講談社 2008-02-01
売り上げランキング : 69651

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


砂漠に眠る秘宝 (〔ランダムハウス講談社文庫〕 (ウ4-1))砂漠に眠る秘宝 (〔ランダムハウス講談社文庫〕 (ウ4-1))
村山美雪

ランダムハウス講談社 2008-03-01
売り上げランキング : 255881

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  1. 2008/04/18(金) 23:01:26|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

あなたにさらわれて

エイミー・J・フェッツァーの新刊。随分とお久し振りですが、「ドラゴンワン」では無い単発作品です。

国家最高機密の研究所で働く科学者のシドニーは、テロリストによる研究所の襲撃からただ一人
生き残ったが、その為に政府やテロリストからも命を狙われる羽目になった。そんなシドニーの前に
襲撃によって仲間を殺害された海兵隊員のジャックが現れ、二人は行動を共にする事になるが・・・。

う〜ん・・・まず感想としては、イマイチでしたね〜(笑)始めは割と良かったのですが、段々と退屈に
なっていったと言うか。良い部分もあるんだけれどね(^^;)以下ネタばれアリなのでご注意を〜。

ヒロインのシドニーは国家の最高機密の研究所で、サリンガスの対策を研究する科学者。研究所
の外で休憩を取った後に戻ってみると、職場はテロリストに襲撃されていて、命からがら逃げ出した
所に海兵隊員のジャックと遭遇します。タフでしっかり者だし、ユーモアやウィットのセンスも光ったりと、
中々良い印象だったかな〜。スタンドプレイに走ったりもせず、協調性もあり、食欲旺盛な一面は
とりわけ微笑ましかったりも(^^)国家機密のプロジェクトを担う程の頭脳の持ち主だけれど、頭の
良さが鼻につく事も無かったですね。でも心理面を含めて、キャラの描出がそこそこな感じだったので、
ちょっと物足りない気はしましたが、明るくて快活な雰囲気はよく出ていたので、トータルでは○かな。

ヒーローのジャックは海兵隊の大尉で、鹿狩りをしている最中に研究所のテロに巻き込まれて仲間
達は殺害されてしまい、復讐を果たすべく情報を求めてシドニーの後を追いかけます。ジャックのキャラ
ですが、正統派のヒーローと言えるかな〜。真面目でリーダーシップもあるし、相手の気持ちを汲め
るだけの思いやりや優しさも感じられました。特殊任務に就き、私生活はどちらかと言うと孤独な
生き方をしているタイプだと、感情的に不器用だったりする場合が往々にしてあるけれど、ジャックは
そのあたりも素直で、癖の無いストレートなキャラがさらっと立っていたなあ〜と。素敵でしたね(^^)

脇役も多く登場しましたが、シドニーとジャックを追いかけるNSA捜査官のシスコは冷徹な曲者系の
キャラで、ヒーローに昇格しても良さそうな存在感でしたね〜。部下のウィッカムとのやり取りにはニヤリ
とさせられたりも。あとシスコと元武器商人の女性との関係は明らかに含んでいる感じで微妙に気に
なりました。他は悪人がほとんどでしたが、これがぼやけたキャラばかりで何とも言えず・・・です(苦笑)

テロリストによってサリンガスとシドニーの研究の成果が奪われ、NSA捜査官のシスコは内部に裏切り
者がいる事を確信し、テロリストの正体と並行して捜査に当たりますが、一方シドニーとジャックはテロ
リストの追跡をかわしながら、徐々に事件の核心へと迫っていきます。まずサリンガスとその対策、そして
国立公園の地下に造られた研究所といった設定自体は割と凝っていると言うか、興を感じたものの、
プロットがズルズルなのがどうにもこうにも・・・(^^;)あと裏切り者の動機等の描写がすっぽりと抜けて
いたりや最後に死体で発見された、別の裏切り者キャラと事件の関連性も不明瞭なままだったりと
突っ込みポイントだらけなんですよね〜(苦笑)テロリストによる被害者達の指切断の件も結局は
大した意味も無く何だかなあ〜といった感じだし、最後の空港のシーンに至っては、いくら生き残った
裏切り者とシドニーを対決させたいと言っても、芝居がかっていて正直冗漫に思えたりも。キャラの
視点を複数に分けてアップテンポに展開していく中、ロマンスはわりかし良い感じだけれど、アイデア
やエピソードが作中で生かされず、説明や描写が欠落したサスペンスのお粗末振りは何とも頂けず
でしたね〜(^^;)なまじサスペンスに力が入っているのがわかるだけに残念度が増しちゃった感もある
かな(苦笑)次回の翻訳の詳細は不明ですが、「ドラゴンワン」の続きは楽しめると良いなあ〜(笑)

エイミー・J・フェッツァーですが、「ドラゴンワン」シリーズと単発作品を交互に刊行しているみたいですね。
ちなみに「ドラゴンワン」は三作目の「Come As You Are」が発表されたばかりです。あとはアンソロジー
集の「Tell it to the Marines」なんていうのも出ているので、短編スキーには要チェックかも〜(笑)

あなたにさらわれて (〔ランダムハウス講談社文庫〕 (フ5-2))あなたにさらわれて (〔ランダムハウス講談社文庫〕 (フ5-2))
北沢あかね

ランダムハウス講談社 2008-01-07
売り上げランキング : 132342

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  1. 2008/01/28(月) 23:08:26|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

戦士と美しき人質

C・コールターの新刊。「Viking Series」は全部で四作品ありますが、後書きでは三部作の一作目
となっていました。てっきり二作目だと思っていたので、そのあたりがちょっと気になったりもしています。

クロンターフ砦の女主人のミラナは、異父兄のアイナーの留守中に攻め込んできたヴァイキングの戦士
ロリックに人質として囚われ、領地に連れて行かれた。妻と子供をアイナーに殺害されたロリックは復讐
の為にミラナを利用しようとして容赦無い扱いをするが、ミラナは領地の女たちに好かれ始めて・・・。

MIRAから出た「シャーブルックの花嫁」がかなり個性的だったので(笑)、半分様子見感覚で取っ掛か
りましたが・・・。さくさくと読めるけれど、面白いというわけでも無かったですね(^^;)さてレビューします。
以下若干(?)ネタばれアリな内容になりますので、未読の方はスルーもしくはバックして下さいね。

ヒロインのミラナは、異父兄のアイナーの領地で女主人として暮らしていますが、アイナーに恨みを抱く
ヴァイキングの首長ロリックに人質として囚われてしまいます。このミラナですが、ロリックの元で酷い扱い
を受けながらも、気丈な強さを持っているという感じの描かれ方をしていましたが、キャラ立ちとなると
平均レベルに納まってしまう感じで、微妙に存在感の薄さは否めずだったかな(笑)しっかり者の女主人
として領地を切り盛りしているのに、異父兄の実体をいま一つ理解していなかったし、ロリックとの関係
も惹かれ合っていく過程が平淡と言うか、明確なものが感じられない内容だったりと、ミラナを取り巻く
状況(?)が曖昧だったのも何だかなあ〜と。私的にはそういった部分から個性がぼやけ気味になった
ようにも思えたりも。でもエンティとの関係は中々良かったし、賢くて勇敢なヒロイン像を描こうとしている
のはわかるのですが、印象としては極々普通で、個性が光るだけのパンチに欠く感は否めずでしたね。

ヒーローのロリックは、妻と子供を殺害したアイナーに恨みを抱くヴァイキングの首長。ミラナをさらって、
アイナーへの復讐に利用しようと考えますが、このロリックがこれまたよくわからないキャラでした(^^;)
アイナーの領地に乗り込み、あっさりと捕まった時点でへタレな感じはしましたが(笑)、アイナーの罪
とミラナは無関係だからと言って結婚したくせに、結婚に大反対の家族の言い分にすっかりと流された
挙句、ミラナに酷い態度を取るのは頂けず。そういうロリックの態度を通して、妻子を失った事に対する
苦しみや家族とミラナの間で板挟みになった葛藤が浮き彫りになるかと思えば、キャラに重みが感じ
られないせいか、感情面に訴えるものも無く、ただ単にはっきりしないだけのように映りましたね(笑)
人格者らしい面や風格といった、上に立つ者らしい資質も見られず・・・とイマイチな存在でした(^^;)

脇役キャラで印象に残っているのは奴隷のエンティとハフターですね〜。各々の個性もはっきりして
いて○。相手を想う心情もよく出ていたと思います(^^)悪役のアイナーは、複数の愛人や美少年を
囲ったりとやりたい放題で、過去のエピソードからはサディスティックな性格が窺えるものの、実際は
印象に乏しかったですね(笑)何だか肩透かしをくらったような感じかも(^^;)あとロリックに横恋慕
しているシラはよくいる性悪女で、新鮮味が無くて型通りと言えるかな。他にもキャラが多数登場して、
ストーリーに絡んできますが、立ち位置や個性等、これといったものは無かったなあ〜。ただこんな事
を言うのは私だけだと思いますが、島の女たちの名前が似たり寄ったりでちと覚えづらかったです(^^;)

アイナーがアイルランド王とミラナを結婚させようとしているという情報をロリックが掴み、ミラナを守る
為に二人は結婚をしますが、ミラナは救出にやって来たアイナーの部下達に捕まり、アイナーの元へ
と連れ戻されてしまいますが、一方ロリックはミラナを取り戻すべく行動を起こします。ストーリーの
前半部分は、ロリックの島での生活を中心に展開していきますが、ミラナと島の女たちの交流を交え
ながらも、ロリックの復讐心があやふやだったり、メインのロマンスにインパクトが無いせいか、どこか
単調な感じがしましたね〜。ミラナがアイナーの元へ戻って以降はアイルランド王を巡る陰謀やロリ
ックとアイナーの対決等の事件面が動きを見せますが、アイルランド王のすり替わりのネタはシラを
ミラナの代打に使う事も含めて、持っていき方が強引と言えて、何だか付いていけなかったです(^^;)
あと最後の最後で、島に戻ったミラナが襲われるエピソードも、大して意味が無いように思えたりと、
いろいろと要素を詰め込んで展開していくけれど、そのせいか作品として一体感に欠ける内容に
なってしまっているし、キャラ立ちも弱かったですね。可も無く不可も無し・・・といった所でしょうか。

「Lord of Raven's Peak」では、ロリックの弟メリックがヒーローになっているとの事ですが、今後の
翻訳はどうなるんでしょうね〜。ランダムさんだと追々刊行しそうな感じもするけれど、果たして?(^^)

戦士と美しき人質 (ランダムハウス講談社 コ 4-1)戦士と美しき人質 (ランダムハウス講談社 コ 4-1)
白木るい

ランダムハウス講談社 2007-12-01
売り上げランキング : 147081

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



  1. 2007/12/30(日) 23:59:38|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

深紅の月のしずく

R・ヨークの「ムーン・シリーズ」四作目。今年は三冊刊行されましたが、理想的なペースですね〜(^^)

投資家で実は泥棒でもあるサムは、パーティーで知り合った富豪の令嬢のオリヴィアに、盗まれた
家宝を取り返して欲しいと頼まれた。家宝はオリヴィアの家族の健康を維持する為に必要なもので、
一目でオリヴィアを自分の伴侶と見なしたサムは頼みを承諾するが、オリヴィアは真実を伏せていて・・・。

シリーズも四作目となりましたが、ストーリー展開、キャラ描写共に切れがあって巧妙。さすがの上手さ
ですね。前作同様にパラノーマル色がグッと強く出た内容にホクホクしつつ、一気読みの面白さでした。

さて、今回のヒーローは死んだと思われていた、マーシャル家の末っ子ジョニー。現在はサム・モーガン
と名乗り、世間的には投資家として通っているものの、裏では環境破壊をしている会社の経営者達
をターゲットに窃盗を行っています。前作ではロスとアダムのキャラやウェアウルフとしてのあり方の違い
に興味深いものを感じましたが、三人三様と言うか、ロスやアダムとはまた違うサムの個性や生き方が
明確に活かされていましたね(^^)洗練された世界に足を踏み入れている表向きの顔と本質的には
一匹狼な部分の間で程よくバランスが取れている印象で、どことなく颯爽とした雰囲気とかも感じ
られたかな〜。「義賊」らしいとでも言うか(笑)ロスとの再会メールは、兄弟から離れて生きてきたサム
の、「弟」の顔が垣間見れるやり取りで良かったし、オリヴィアを早々に伴侶として認めながらも、実際に
オリヴィアの力を前にして微妙にびびりつつ(笑)、サムの中でジョニー・マーシャルのまま変わっていない
部分が浮き彫りになるあたりは、隙が見えるような、人間味を感じたりも。あとオリヴィアに対して密かに
ラブレターをしたためていたなんていう、何気にロマンチストな(?)エピソードにはニンマリしました(^^)
ウェアウルフなんだけれど、狼よりも人間としての部分がより前に出たヒーローでしたね。結局人狼と
して生きる苦悩は、兄ちゃんのロスが代表で他の兄弟分まで背負ってきたと言えるのかな〜とも(笑)

ヒロインのオリヴィアはウッドロック家の令嬢で、先祖代々に受け継がれてきた霊水を取り戻す仕事を
サムに依頼します。初めは普通のお嬢様ヒロインかな〜とか思いましたが、きちんと自己主張もするし、
霊水や家族にまつわる事実を完全には明かしていない事が、オリヴィアのキャラに含みを持たせる感じ
で中々でしたね(^^)自分が未知の能力を秘めているせいか、サムがウェアウルフである事を知っても
驚かない一方でサムに対する想いや迷いも適度に読ませつつ、終盤での動きや腰の据わり方は、
正直サムを食ってしまう(笑)くらいで○。お嬢様ヒロインと言うと、個性がはっきりしなかったりなど、
私的に微妙な場合が少なからずあるのですが、特殊能力の持ち主という背景が興を添えると同時
にキャラの輪郭を確かなものにしていたし、しっかりと意志が感じられるあたりも好ましかったです(^^)

そして今回の犯人もまた存在感がありましたね〜。パラノイア的な警備体制やオリヴィアに対する
異常な執着心の描写にはぞっとさせられるものがあって、シリーズを通しての特筆ポイントと言える
のでは(^^)あとはウッドロック家の面々ですが、良き兄ちゃんなコリンと魔法の儀式に夢中なブライス
のカップルを筆頭に父親の悪辣振りや最後には稲妻を起こした伯父さん等各々の個性が手堅く
描かれていたと思います。弟の為にヘルプに駆けつけたロスにはお疲れ様と言ってあげたいわ(笑)

ウッドロック家で何者かに襲われたサムは、オリヴィアを連れて安全な場所へ逃げ出しますが、ある
時、盗みに入った家で撃たれたオリヴィアが体調を崩した事がきっかけになり、霊水とウッドロック家
の人間に遺伝する病気に関する真実が明らかになります。ストーリーは、ロマンス面、事件面揃って
序盤から展開が速く、パラノーマルならではの空気感や色彩がしっかりと出た終盤に至るまで、勢い
のある筆致で描かれていきますが、シリーズを通して安定した面白さがあるだけで無く、きっちりとした
描写やそのつど盛り込まれるパラノーマルの要素、キャラの個性等を過不足無く活かしたストーリー
展開は、今作においても健在でしたね。このシリーズはハズレ無しだなあ〜。満足の良作です(^^)

シリーズの続きですが、「Shadow of the Moon」、「New Moon」が刊行済みです。そして今月
にはアンソロジー収録の「Huntress Moon」、来年の7月には「Ghost Moon」が発表される予定。
後書きでは今後の翻訳について特別言及されていない感じですが、安泰だと信じています(笑)

深紅の月のしずく (ランダムハウス講談社 ヨ 1-4)深紅の月のしずく (ランダムハウス講談社 ヨ 1-4)
佐久間伸子

ランダムハウス講談社 2007-10-02
売り上げランキング : 198113

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  1. 2007/11/13(火) 22:51:05|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

魔の月に誘われて

レベッカ・ヨークの「ムーン・シリーズ」三作目。一作目のヒーロー、ロスの弟アダムのお話です(^^)

調査の為に南部の湿地帯に滞在する事になった植物学者のサラは、パーク・レンジャー長の
アダムと出会った。不可思議な感覚を共有しながら二人は惹かれ合うが、一方前任のレンジャー長
の殺害事件を調べ始めたアダムは、ある晩湿地帯で儀式に耽る男女のグループに遭遇して・・・。

シリーズも三作目の翻訳となりましたが、前ニ作に引き続いて面白かったですね〜。暗く翳った
独特の空気感の中、じっくりとしたストーリー、個性の立つキャラ共に申し分の無い充実振りでした。

ヒーローのアダムは、数ヶ月前に、ジョージア州の湿地帯にある私立公園のパーク・レンジャー長に
着任したばかりのウェアウルフですが、オーナーから事件解決の能力を見込まれた事もあり、前任
のレンジャー長の殺害事件の真相を突き止めようとしています。このアダムですが、まずロスとの
違いを面白く感じましたね〜(^^)ミーガンと出会う以前から、土地を買って定住する生活を送って
いたロスに対してアダムは実家を出て以降は定期的に職を変え、一所に落ち着かない暮らしをして
いますが、でもアダムの生き方もまたウェアウルフなんですよね。ロスみたいに翳が差すようでも
無く、力が抜けている印象かな〜。取っ付きやすそうとでも言うか(^^)その抜けた感じやロスとの
再会で見せる「弟」としての顔が何とも可愛くて好印象だし、サラに対してさほどジタバタせずに(笑)
腹をくくったあたりには「おっ!」と思ったりも(^^)あと麻薬を吸い込んだ冒頭に始まり、アダムの
クラクラ振りにはニンマリでした(笑)ネット購入のガスマスクを着用してもしっかりと襲われている
し(^^;)良い具合に隙があって(隙だらけ?・爆)、普通っぽい雰囲気が微笑ましく映ったかな〜。

ヒロインのサラは、湿地帯の植物に関するリサーチの仕事を製薬会社から請け負った植物学者。
養父母の元で、自分の持つ魔力を抑え込みながら生きてきましたが、スワンプでの仕事を引き受け
て以来、幻覚を頻繁に見るようになります。キャラとしては穏やかで、落ち着きが感じられたし、どこ
となく不思議な雰囲気をまとっているようにも見受けられるのは、魔女の血故かな〜とも。魔女で
ある事実について、戸惑ったり考えたりするサラの胸の内も程よく描かれていたし、無防備なようで
いて、でもいざという時には逞しく出れたりと頼りになって、根がしっかりしているのが好ましかった
ですね(^^)アダムとのロマンスもしっくりと納まる様が自然で良い感じ。素敵なヒロインでした。

今回ロスとアダムの再会がありましたが、心を通い合わせるエピローグは良かったですね〜(^^)
ロスとミーガンの幸せ振りやミーガンの遺伝子研究が進んでいるという朗報も嬉しかった。あと
保安官や「組織」のメンバー等脇役達に関しては、各々に個性や思考を過不足無く注ぎ込みつつ
描き出されていましたが、特に悪人キャラを通して、「組織」内の力関係や過去に町で起こった
「魔女狩り」に基づく犯行動機にも、説得性や力強さが着実に見られたし、また魔術と縁深い沼沢地
が持つ暗さや重さがじわっと漂っているあたりにも、ヨークならではの巧みさが見えると同時に興味
深く読ませるし、いつもながらストーリーをきっちりと面白く仕上げるなあ〜とつくづく感じました(^^)

過去に迫害を受け、町から追い出された魔女の末裔達が「組織」を作り、町への復讐を目論む中、
サラは自らの出自を知りますが、持つ力の強さ故に「組織」に命を狙われてしまい、一方で町の
有力者が「組織」に誘拐され、アダムは保安官と共に救出に向かいます。ストーリーのペースは
割とゆったりとしていますが、アダムとサラが共有する夢や幻視を巧みに織り交ぜつつ、一定の張り
をキープしたまま、徐々に盛り上がっていく感じかな〜。登場人物達のポイントを押さえた配置も
上手いし、手堅く読ませる心理面等トータルで○。パラノーマル色がグッと濃く出た良作でした(^^)

ヒーローが楽しみな次回作「Crimson Moon」の前作にあたる(?)アンソロジー収録作品の
「Burning Moon」の翻訳は望めないのかな?と気になったりもしています(笑)シリーズは
「Shadow of the Moon」、「New Moon」と続いている模様。順調に読める事を期待ですね〜(^^)

魔の月に誘われて (ランダムハウス講談社 ヨ 1-3)魔の月に誘われて (ランダムハウス講談社 ヨ 1-3)
佐久間伸子

ランダムハウス講談社 2007-06-30
売り上げランキング : 146308

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



  1. 2007/07/11(水) 22:45:41|
  2. ランダムハウス講談社|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:4

| ホーム | 次のページ